「銀二貫」

「銀二貫」
著:高田郁

銀二貫


天満の寒天問屋、井川屋の主が、銀二貫で仇討ちを買った。
その銀二貫は、火事で焼失した天満宮再建のための寄進。
信心深い番頭は、寄進の金で侍の子を救ったことにいらだち、その子に辛くあたることも。
救われた侍の子は、井川屋で丁稚として働く。

丁稚として奉公した少年が、商人の町で、いろいろな人と出会い、成長していくお話です。


この本を読もうと思ったきっかけは、NHKの木曜時代劇。
途中から見始めたドラマがとてもあたたかく、最後まで優しくて、原作も読んでみたいと思いました。

本とドラマでは、少し違うところもありましたが…。
あたたかい気持ちになるところは同じで、とてもすてきなお話だと思います。

本でもドラマでも、やわらかい大阪言葉がとても心地よかったです。



ここから、ネタバレも入りますが…。


本で一番良かったのが、松吉(侍の子)が故郷に墓参りに行くところ。
ドラマでは、故郷には帰らず、故郷から来たある人から話を聞くだけなのですが。
緑豊かな村の風景が、目の前に広がるような気がして、とてもいいなあと思います。

ドラマでは、ヒロインの少女時代の口癖。
芦田愛菜ちゃんが演じていたのですが、「だんない、だんない」という口癖がとても良かったです。
大人になってからも口癖なので言うのですが、ニュアンスが違うんですよね。
やはり、愛菜ちゃんは関西の子。
この一言で、いろんな気持ちを表現していたと思います。
…って言っても、実は、私がドラマを見始めたのは、愛菜ちゃんが退場してからで、回想シーンでしかこのセリフを聞いていないのですけどもね(^^;;


本を読むとドラマのシーンがよみがえり、またドラマを見返したくなり。
とても、いい本であり、ドラマであったなあと思いました。