「ノートルダムの鐘」(2020/01/04ソワレ)

今年最初の観劇は、「ノートルダムの鐘」京都公演でした。

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ノートルダムの鐘」

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ノートルダムの鐘」キャストボード

 

 

ノートルダムの鐘 京都
2020年1月4日(夜)公演  京都劇場

カジモド 寺元健一郎
フロロー 野中万寿夫
エスメラルダ 松山育恵
フィーバス 清水大
クロパン 阿部よしつぐ

【男性アンサンブル】
 立崇なおと
 山田充人
 大空卓鵬
 賀山祐介
 高舛裕一
 佐藤圭一
 手島章平
 武藤洸次

【女性アンサンブル】
 岩城あさみ
 結城湊海
 吉田絢香
 小島由夏

【男性クワイヤ(聖歌隊)】
 永井崇多宏
 山口泰
 柳 隆幸
 坂下良太
 志村知紀
 澤村楽人
 井上隆司
 高井 治

【女性クワイヤ(聖歌隊)】
 河村 彩
 相原れいな
 徳山稚子
 瀧本真己
 谷 明実
 早水小夜子
 吉田瑛美
 秋山知子

 

座席は、1Fのセンターブロック、前方席。

細かい表情がよく見えてよかったです。

でも、クワイヤのコーラスは、少しこもって聞こえたかな。

もっと歌のシャワーのように降り注ぐかと思っていたのですが、こちらは2階席のほうがよかったのかも?と思います。

そして、4か月ぶりの寺元さんのカジモドは、以前気になっていた、少し動きがぎこちないかも?という点が払拭されていたように感じました。

 

今回、寺元さんのカジモドを近くで拝見して思ったのは、とてもピュアだということ。

無論、カジモドもそうなのですが、カジモドを演じている役者(寺元さんではなく、あの舞台でカジモド役を振られた役者)さんがとてもピュアな人であるということでした。

カジモドになる直前の「彼」は透明な存在。

カジモドから「彼」に戻るときは、すべてと脱ぎ捨てた語り部

 

そういうところは、田中さんのカジモドと重なるかもしれません。

海宝さんのカジモドは、りんとした俳優さんで、もう少し大人びていたかな?

飯田さんは、飯田さんの顔が少し見える俳優さん。

寺元さん自身が、あまり色を出さない俳優さんなのかもしれませんが、透明な存在である役者さんにカジモドが下りてきて、去っていく、そんな演出を感じました。

海宝さんのときは、「ノートルダムの鐘」自体、初めて観たときだったこともありますが、端正なマスクの青年が、カジモドに変貌するさまがあまりにも衝撃的で、また、カジモドから一人の青年に戻った時の様子も対比が明確で、寺元さん(や田中さん)に感じた、カジモドが下りてきて去っていく、という感じではなく、カジモドの役をまとって最後に脱ぎ捨てるという印象が強かったです。

うまく言えませんが、カジモドを演じる役者としての色があったように思います。

対して寺元さんの演じる役者は、色がない、無色透明な存在。

自分自身、何を演じているのかさえわからず、カジモドに呑み込まれて、終わった時には呆然としてしまっている・・・という役者さん。

もちろん、寺元さんがそういう役者さんであるという意味ではありません。

なんというか・・・そういう役者が演じているカジモドを、きちんと意図して演じていらっしゃるのかなと思います。

だって、そうじゃなければ、カジモドを演じるなんてできないと思うのですよ。

この舞台は、カジモドだけでなく、みんなそういう役ですよね。

なつかしの「ベガーズ・オペラ」的な。

(ちょっと違うか)

クロパン役の役者(きっとこの劇団の座長さん)が客に向けておくるメッセージ。

くるくると入れ代わり立ち代わり、役も入れ替わる。

舞台セットは基本的には変化せず、大道具や小道具で、シーンの転換を行っていく。

演劇らしい演劇で、やっぱり好きだなあ。

 

あ、書き忘れていましたが、寺元さんのカジモドは、やはり歌が素晴らしく。

高音がとてもきれいで、本当に素晴らしい声です。

大好き。

 

また、カジモドとしての怒り、ぐっと下から睨みつける視線の強さが印象的でした。

 

少年から青年に変わりつつある、カジモド。

 

フロローを投げ捨てたあと、彼は後悔して、「自分を抑えることを学ばなければならない」ということを思い出していたのかもしれません。

 

幼さ、無垢、衝動、怒り、恐れ、絶望。

 

言葉ではなく、表情やたたずまいで、それらが伝わってきました。

 

それらを「作った」感じではなく、自然にカジモドが憑依した感じでえんじていらっしゃるところが、いいなと思います。

 

 

京都公演は、1月19日が千秋楽なので、きっとこれが今回の見納めとなります。

でも、折に触れ、見たい作品です。

福岡は無理ですが、東京へ帰ったら・・・、もしくは名古屋や京都に戻ってきたら、また足を運ぶだろうなと思います。