「リトル・マーメイド」('13/12/15マチネ)

リトル・マーメイド

††キャスト††
アリエル 谷原志音
エリック 上川一哉
アースラ 原田真理
トリトン 金本和起
セバスチャン 飯野おさみ
スカットル 荒川務
グリムスビー 志村要
フランダー 大空卓鵬
フロットサム 有賀光一
ジェットサム 中橋耕平
シェフ・ルイ/リーワード 岩城雄太

男性アンサンブル
斎藤准一郎/高橋基史/片山怜也/権頭雄太朗/光田健一/南圭祐

女性アンサンブル
西田ゆりあ/松本菜緒/高瀬悠/三井莉穂/久保佳那子/吉田絢香/渡辺由紀




11月末に、有賀さんがデビューされたと知り、前日予約で見に行って来ました。
「リトル・マーメイド」の映画は1度見ただけ。(しかも飛行機の中で、半分寝ながら)
あらすじは覚えていましたが、役柄については、ほとんどわかっていません。
当然、「フロットサム」という役柄についても、知識はゼロ。
「アースラの手下」「ローラースケート」「妖しい歌」ということだけ、知人に教えていただきました。

「アースラの手下」ということは、悪役?
有賀さんの悪役は、一度見てみたかったところ!
どういう役柄かはわかりませんが、行かねば!と思ったわけです。

実際に拝見すると…ディズニーの悪役ですので(しかも下っ端)、悪役という程でもなく。
そうですね、トンズラーとボヤッキーくらいの愛嬌ある悪役?
(トンズラーとボヤッキ−は「ヤッターマン」のドロンジョ一味です…って知らない人にはこの説明でもわかりませんね)
アースラもかなり悪いことやっている割に、うっかり者だったりして、ドロンジョ風味もありそうです。
(でも、姉妹の中で可愛くなかったから愛されなかった、という設定はドロンジョとは違いますけど)


舞台は、きっちり13時に始まりました。
開演前の注意アナウンスがあったと思ったら、すぐ音楽が始まって、ちょっと驚きました。
そして、紗幕の向こうを下方から上方へ滑るように上っていく人魚の姿。
今回の舞台で一番感動したのは、ここだったかもしれません。
本当に海を泳いでいるような滑らかなフライングで、とても美しいシーンでした。

しかし、これまでのディズニー作品と比べると、いささか淋しい。
淋しい…というと語弊があります。
派手さが足りない…という方が良いでしょうか。
確かにフライングは綺麗ですが、圧倒されるようなシーンはありませんでした。
美女と野獣」だったら「ビー・アワ・ゲスト」、「ライオンキング」だったら「サークル・オブ・ライフ」、「アイーダ」だったら「お洒落は切り札」。
「リトル・マーメイド」だとそれらに当たるのが「アンダー・ザ・シー」だと思うのですが、ちょっと淋しいんですよね。
人間ドラマというか、心の葛藤もあまり描かれていないのも、淋しい。
野獣の「愛せぬならば」とか、シンバの「終わりなき夜」とか、ヌビアの人々の「神の愛するヌビア」とか…。
ディズニーランドで上演されるショーだったら、これでもいいんですけどね。
もしくは、ファミリーミュージカルならば、これでもいいんです。
(でも、ファミリーミュージカルにしても、ちょっと浅すぎるけど)
フライング以外の見せ場があまりなくて、なんだか、勿体ないなという印象でした。

それから舞台セットが少ないです。
海の底は特に少ない。
そして、人間界のシーンでのセットは、戯画的です。
波や太陽、お城など、モザイク画のよう。
もしくは、タロットカードの絵柄のようです。

アリエルにとって海の底がリアル、人間の世界はお伽噺のようである、ということをあらわすためかな?と思いましたが…。
お城の中のセットも同じように戯画的で、大きな本のページをめくることで場面転換する、というところからすると、別の理由かも。
このお話自体が、お伽噺のようである、ということなのでしょうか?
プログラムを買えば、そのへんの意図も書かれていたのかもしれません。
買えば良かったかなぁ…。
有賀さんの舞台写真が無いから買わなかったんですけど(^^;

こんな感じで、全体にちょっと淋しい、というのが初見の感想です。
現在のところは、何度も繰り返して見たい!と思える作品ではありませんでした。
いいところもいっぱいあったんですけどね。

例えば…。
台詞や歌の、言葉遊び。
こういうの大好き! もっとここら辺が洗練されていれば、はまったかも?

船員達のコーラス。
格好良くて、素敵でした。船員さん達、それぞれにいい声でした。

谷原さんのアリエル。
尾ひれが無くなると、意外とちっちゃくて、可愛い。
歌はすんなりのびて、ちょっと金属質だけどお上手。
フォークで髪を巻くところは、映画のアリエルが目に浮かぶようでした。

シェフ・ルイとセバスチャンの攻防。
シェフ・ルイだけじゃなく、他のシェフ達の奮闘ぶりも楽しく、この場面単独で見ると面白かったです。
(ただ、物語の中で必要性を感じられなかったですが)

上川さんのエリック。
王子らしく、格好良かったです。

キス・ザ・ガールは結構好きなシーン。
アリエルとエリックの心が近づいていくのも見えるし、セバスチャンとスカットルもいい感じだし。
でも、物語の中で、このシーンをはめ込むと、なんだか違うんだよなあ…って気持ちになってしまう。


結局は、「リトル・マーメイド」のお話自体が苦手だから、仕方がないんだろうと思います。
「人魚姫」のお話は、完成度が高くて、とっても美しいお話だから。
決して報われないとわかっていても、最後まで王子を守ろうとした人魚姫の健気さが、私は好きだから。



では、ラストに、今回の観劇の目的であった、有賀さんについて書いて終わりたいと思います。

フロットサム。
見たときはウミヘビ?と思ったんですが、ウツボだそうです。
全身が緑色に、黄土色とか赤とかの模様入り。
ちょっと見た感じは、迷彩色っぽい?
ぴったりしたタイツ地のような衣装に、ぐるぐると蛇っぽいぬいぐるみを巻き付けていて、ところどころが電飾でぴかぴかと光ります。
頭の先っちょにも、ちょうちんアンコウのような電飾がついてた気がします。
お顔も、衣装と同じで緑地に赤とか入ってた気がします。
遠目だと、お顔がわからないのが残念。
ローラースケートは、前に進むだけでなく、くるくる回ったり、バックしたり…なので、ときどきふらついていらっしゃいました。
一度、ターンするところで、手を付いてしまっていらっしゃるのも見てしまいました。
ローラーブレードとは勝手が違うのか、それとも、ローラーブレードでは前に進むだけだったからか…。
歌は、確かに妖しい感じで、これは、もう一度じっくり聞いてみたいかも。
あと、初めの音楽会で、トリトン玉座の両脇に控えていたタツノオトシゴ、ローラースケートだったんですけど、これも有賀さん?
上手側のタツノオトシゴが、そうなんじゃないか?と思ったんですけど、どうなんでしょう。

こんな感じで、いまいち、というかいまさんくらい、有賀さんを堪能するには足りなかった、今回の観劇。
「リトル・マーメイド」はもう一回みたいと思わなかった演目ですが、「フロットサム」の為に、きっとまた行ってしまうんだろうなあ…。