「ノートルダムの鐘」('17/1/7マチネ)
行って来ましたー。
「ノートルダムの鐘」です。
私が初めて映画館で見ようと思ったディズニー映画。
その後、もう一度、見にいき、ビデオを買い、DVDも買った映画。
そういうディズニー映画はこれだけです。
「SONG&DANCE 55 STEPS」の「ノートルダムの鐘」の一部も感動しました。
ですから、上演が決まってから、ずっと楽しみでした。
チケットも発売当日に、あの、ネットが落ちまくっている中で、なんとか取りました。
でも、私が自力で取ったチケットは、まだまだ先。
誘っていただいて、はからずも、こんなに早く、観劇が叶いました。
ノートルダムの鐘 東京
2017年1月7日(昼)公演 四季劇場[秋](浜松町)
††キャスト††
カジモド 海宝直人
フロロー 野中万寿夫
エスメラルダ 岡村美南
フィーバス 清水大星
クロパン 阿部よしつぐ
【男性アンサンブル】
野村数幾/安部三博/大空卓鵬/賀山祐介/中橋耕平/平良交一/佐藤圭一/吉田功太郎
【女性アンサンブル】
平木萌子/大森真理/吉田絢香/小島由夏
【男性クワイヤ(聖歌隊)】
永井崇多宏/坂下良太/山下泰明/奥田直樹/青井緑平/澤村楽人/山粼聡一郎/飯村泰志
【女性クワイヤ(聖歌隊)】
片山美唯/山本詠美子/青胗歌奈/千田みゆき/町島智子/河村古都/秋山知子/吉田瑛美
まず、映画とラストが違うとは聞いていましたが、始まりも違いました。
始まりはフロローの物語。
映画では、徹底的な悪役で、非道でしかなかった彼に、きちんとした物語が与えられていました。
まず、そこで感動…というか、泣かされそうになりました。
なぜかというと、このときのフロローには共感する点があったから。
…というか、結構、フロローには共感するところがありました。
うーん、いろいろ書きたいけど、書くとネタバレが含まれてきてしまうので、以下は畳みます。
もうちょっと、間をあけます。
お話は、もちろん、概ね映画のストーリーをなぞっています。
でも、フロローがカジモドを育てているのは、決して、打算とかそういうものじゃなくて、自らに与えられた試練。
そして、映画のフロローはカジモドを、いたわるように見せて実は見下し、虫けらのようにしか思っていないけれど、こちらのフロローは、カジモドを憎みつつ愛している。
フロローとカジモドの間には、確かに、情が通っていて、フロローは義務だけでなくカジモドのことを思っている。
現在でいうところの、子を支配する親のようであるけれど、カジモドを愛していることだけはきっと真実。
カジモドもまたフロローを憎みつつ、愛している。
最後の最後、エスメラルダの為にフロローと対決するけれども、そして、フロローをうち破るけれども、それでもカジモドはフロローのことも愛していた。
プログラムには、エスメラルダを巡る、四画関係は、それぞれ、
フロロー=教会、フィーバス=王権、カジモド=民衆
を象徴しているとありました。
(ユゴーはそう描いたと)
しかし、私には、フロローとカジモドが、ダブル主役のように思えました。
フィーバスは、そういう意味で、少し薄めな印象です。
私には、この物語は、父と子の物語でもあると思えました。
映画と違う結末は、納得でした。
映画は、ディズニーで、子供が見るアニメで、あのラストは無理だよね。
ついでに、ですが、ラストのラスト。
「オペラ座の怪人」の原作は、この話からぱくったんちゃうん?って思った。
もし、ユゴーの書いた「ノートルダム・ド・パリ」の結末が、ミュージカルと同じだったら、ですけど。
ここまでは、物語について。
ここからは、演出について。
歌は、決して少なくない。
冒頭の「ノートルダム・ド・パリ」は何度も繰り返し使われるし、印象的。
この繰り返しは、他の曲でも使われているので、曲が頭に残りやすいです。
そして、クワイヤを含め、歌のレベルはとても高い。
降り注ぐようなコーラスは、「サウンド・オブ・ミュージック」の始まりと似ているかも。
二幕はじめ、クワイヤのオーヴァチュアは素晴らしかったです。
(あそこに混じれたら、最高に幸せだろうなあ)
一方で、ナレーションというか、説明的な語りも結構使われている。
おそらく、膨大な物語なので、語りをいれないとわかりにくいからかと。
あと、アンサンブルの人たちが、目の前で衣裳を変え、他の役に変わっていく。
見目麗しい青年が、顔に墨を塗りつけ、顔をゆがめ、背中にコブを作る衣裳を背負い、観客の目の前で、カジモドに「なる」。
見立ても多く使用されているし、とても演劇的。
テーマも重いし、大人向けのミュージカルかな。
お話のラスト、ではなく、お芝居のラスト。
カジモドは、もとの端正な青年に戻り、周囲の人々が逆に顔に墨を塗りつけ、顔をゆがめ、身体をゆがめる…。
………ああ、そうか。
この世界に、あふれる「普通の人々」はみな、「バケモノ」
「Wicked」じゃないけど、「見る角度を変えれば」。
そんな風に、思ったラストでした。
全部終わって。
勇気がちょっと足りなかった。
だから、カテコですぐには立てなかった。
でも、本当は、終わった瞬間に、立ちたかった。
こんな素晴らしい作品を見せてもらえたことを、感謝したかった。
こんな感動は、レミを初めてみたとき以来。
本当に素晴らしい作品です。
多くの人に見てほしいと思いますし、ロングランが続いてほしいと思います。
…大人向けだから、ロングランは難しいかもしれないけど。
「オペラ座」や「美女と野獣」のように、お休みに入ってもいいから、長く上演を続けてほしいです。
ここからは、印象に残った役者さんの個別感想。
■海宝カジモド
できれば、海宝さんで見たかったので、ものすごくラッキーでした。
端正な青年から、カジモドへの変貌が、とても印象的。
もとが、格好いいから、よけいによいと思います。
とても、純粋な青年カジモド。
歌はもちろん素晴らしいし、演技も素晴らしかった。
ラスト、元の青年に戻って舞台から去っていく姿も、よかったです。
■野中フロロー
優しい感じがどうしてもある。
そのせいもあって、フロローの苦悩も伝わりやすかったのかもしれません。
歌は、ちょっと聞こえにくい所もありましたが。
人間フロロー。
少し、足を踏み外してしまったけれど、それもまた、人としてはあること。
そういう意味でも、人間フロローでした。
■岡本エスメラルダ
エスメラルダというには、かわいい。
健康的で、妖艶、とは思えない。
まっすぐに人を見る、純粋さのようなものを醸し出していました。
特別な女性、というには、ちょっとオーラが足りないかもしれません。
でも、歌い出すと、さすが。
エルファバやってた人だもんなーって思い出してました。
■清水フィーバス
フォーバス自体が印象薄目だから…。
「リトルマーメイド」でエリックやっていたのって、この役のため?とかちょっと思ったりしました。
ヒーロー感は少ないかったかも。
■阿部クロパン
映画より、ずっと大物感がありました。
あ、これは、阿部さんの感想じゃないけど。
クロパンについては、原作を読めばもっといろんな物語がありそう。
ミリエル司教のように。
■アンサンブル
平良さん、やっぱり良い声です。
大空さんが、フランダーとは全然違う大人の役。
名前が分からないですが、低音の女性がいらっしゃって、格好良かった。
同じく名前が分からないのですが、フロローの弟役の人も良かったな。
■クワイヤ
上でも書いたように、素晴らしかったです。
秋山さんがいらっしゃったと知って、ちょっと驚きでした。
でも、さもありなん。
とにかく、素晴らしかった。
アンサンブルさんたちも素晴らしくて、歌のレベル、本当に高いです。
最後に。
とにかく、良い作品。
何度でも、見たい。
とりあえずは、自力で取ったチケットがありますが、京都も絶対行きたいです。
でも、役者さんが変わると、印象も変わるでしょうか?
海宝さんのカジモドが本当に素晴らしかったので、カジモドが他の人になったら、どう感じるのか、ちょっとだけ心配です。
そういう心配も含めて。
次の観劇が楽しみな作品です。