「マイ・フェア・レディ」 (2013/6/16マチネ)

マイ・フェア・レディ



脚本・作詞:アラン・ジェイ・ラーナー
音楽:フレデリック・ロウ
翻訳・訳詞・演出:G2
愛知県芸術劇場大ホール


††キャスト††

イライザ・ドゥーリトル
霧矢大夢

ヘンリー・ヒギンズ教授
寺脇康文

ヒュー・ピッカリング大佐
田山涼成

ルフレッド・ドゥーリトル
松尾貴史

ピアス夫人
壽ひずる

フレディ・アインスフォードヒル
平方元基

アインスフォードヒル夫人/トランシルバニア女王他
麻生かほ里

ヒギンズの母
江波杏子

アンサンブル
彩橋みゆ/石井雅登/乾あきお/小川善太郎/小原和彦/伽藍琳/後藤祐香/笹木重人/島田邦人/鈴木結加里/高谷あゆみ/土器屋利行/中島康宏/七瀬りりこ/美鳳あや/港幸樹/森加織/安福毅/横岡沙季/吉田玲菜



新演出の「マイ・フェア・レディ」を見に行って参りました。
大阪公演の時は、別の観劇予定が入ってしまって見られないので、名古屋で!
実のところ、あまり興味がなかったのですが、石井雅登さんが出演されると知って、見に行こうかな…と軽い気持ちでした。

マイ・フェア・レディ」を見るのは二度目です。
以前に見たときは、大地真央さんのイライザ、村井国夫さんのヒギンズ教授、上條恒彦さんのイライザ父、でした。
フレディとか、覚えていないなあ…誰だっただろう??
覚えているのは、大地真央さんの華やかさ!
まさに、スターだ!と思った覚えがあります。
今のところ、舞台であそこまで光り輝いている人を拝見したことはないなあ。
その印象を超えるとは思えないし、見に行かなくてもいいかーと思っていました。
あと、大阪公演の劇場があまり好きな劇場でないのもあって。

しかし、今回、見に行って良かったです。
久しぶりだったせいもありますが、やっぱり曲が好き。
今回は、新演出で、歌詞も変わっているらしいです。
(わかったのは、「踊り明かそう」と「スペインの雨は主に広野に降る」だけですが)

コヴェントガーデンの人たちとイライザが歌う「だったらいいな」
イライザ父と仲間が歌う「運がよけりゃ」
フレディの「君が住む街」

この三曲が特に良かったです。
曲自体も好きなのですが、それぞれ、とっても幸せな気持ちになれる歌でした。
「だったらいいな」は行商人さん達の声がよかったし。(中でも石井さん歌声はやっぱり素敵でした!)
「運がよけりゃ」はとにかく楽しい〜。
「君が住む街」は、平方さんの声が良かったです。

イライザは、高音がちょっとファルセット気味で迫力が落ちるのが残念。
でも、歌を聴きに行ったわけではないし、楽しかったからいいかな。
「踊り明かそう」(今回のタイトルは「じっとしていられない」)は、迫力不足でしたけども。
下町の娘で、ヒギンズに噛みつくところとか、可愛かったです。
大地さんと比べると、普通の女の子で、晩餐会で王女に声をかけられる程の際立った感じはありません。
でも、普通の女の子っぽいから、変わっていく中で戸惑うのも成る程、なのかもしれません。

ヒギンズ教授は、高名な教授でなければ、上流階級で受け入れられないほどのマナー知らずでした。
ときどき、薫ちゃんにしか見えないときも(笑)←「相棒」
型破りで、人の気持ちが読めなくて、でも、あったかい人。
…そう、このヒギンズ教授は、意外とあったかいイメージなんですよね。
言葉遣いは悪いです。
でも、それも、言い様を知らないだけで、本当は優しいんじゃないのかと思わされる。
そんなところも、薫ちゃんw
いろいろと細かい笑いもとっていて(アドリブ?)、いっぱい笑わされました。

ピッカリング大佐は、ほのぼの系。
いい人オーラ、爆発です。
悪い人に騙されてしまいそうな、ホントにいい人。

ピアス夫人は、出きる女性。
存在感があって良かったです。
ヒギンズ教授のお母さん役でもよかったな。

フレディは、背が高くて姿勢が良くて、良く声が出ていて。
ちょっと、ラウルで見てみたいと思ってしまいました。
ラウルの「私がオーナーだ」的な威厳はないけど。
映画とかのフレディは、おばかのイメージしかなかったんですが、今回のフレディはよかったです。
このあと、イライザと結ばれたとしても、ずっと彼女を大切にし続けて、愛し続けそう。
映画だと、熱が冷めたら後悔して、イライザと別れそうだけど。

イライザ父も、良かったです。
適当に生きているようで、しっかりとした哲学を持っていて。
浮き草のような生き方にこそ、彼の哲学があるとわかります。
5ポンドを貰いに来て、10ポンドもらえそうになると、断る。
一日で使い切れるのは5ポンド。
それ以上貰ったら、堕落する。
そう断る父親が、のちに、遺産を断れないようになっているのは、やはり堕落なのでしょう。

イライザは言葉と共に知恵を身につけ、元の生活に戻れなくなり。
イライザの父は大金持ちになったことで、元の生活に戻れなくなる。

なかなかに深いなあと思いました。


さて、一番の目的だった石井さん。
一番の見せ場は、「だったらいいな」
先にも書きましたが、本当に、いい声。
ソロもいいけど、コーラスもいい。
このシーンでは、イライザと絡むことが多くて、恋人ではないけど、仲良しの男の子という感じです。
それが、貴婦人になって帰ってきたイライザを見ても、もう気がつかない。
世界が違っているのが、うまく表現されていました。
他には、ヒギンズのお母さんの運転手、晩餐会にいる紳士など。
イライザ父の結婚を祝うときには、一人だけ胸ポケットからお花を出しているのが可愛かったです。
出番は決して多くなかったけど、久々に美声を堪能できたのは良かったな。
あと、ダンスもきれいで、無理だとわかっていても、「ラウル見たかった…」と思わずにはいられませんでした。


総じて、とっても楽しくて、終始笑顔にさせていただけた作品。
大阪も行けるなら行きたくなりました。
笑うところも多くて、大阪で見るとまた違った楽しみがありそうです。