「レ・ミゼラブル」(2013/6/22マチネ)

レ・ミゼラブル」新演出版


劇場窓口発券でしたので、少し早めに帝国劇場へ。
地下通路を通って行ったところ、迷いました。
帝劇の入っているビルの出口から出ようと思ったんですよ。
でも、ビルの中の階段とか、帝国劇場ロビー直結で、まだ入れない(当たり前)。

えー、どうしよう??とうろうろしていたら、楽屋口前に出てしまい、入り待ちの皆さまに遭遇。
いや、めっちゃ恥ずかしい。
迷っているところとか、見られたくないわー(知らない人たちでも^^;)

いっそ、「私も待ちですけど?」的に並んでおこーか?と思いましたけど、いやいや、チケット発券が先でしょ?
引き返して、結局、別のビルの出口から地上へ脱出。
よかった、ちゃんと地上に出られて…。


さて、帝劇前は、当日券を求める人たちの列ができていました。
暑い中、大変だなあ…と思いつつ、チケットを発券。
座席は、1階S席の最後列、センターブロックでした。
思ったよりは、舞台が近く、前の人の頭も気にならなくて、舞台に集中できて良かったです。


††キャスト††
ジャン・バルジャン 吉原光夫
ジャベール 福井晶一
エポニーヌ 昆夏美
ファンテーヌ 知念里奈
コゼット 磯貝レイナ
マリウス 山崎育三郎
テナルディエ 駒田一
マダム・テナルディエ 谷口ゆうな
アンジョルラス 上原理生

ガブローシュ 加藤清史郎
リトルコゼット 北川真衣
リトルエポニーヌ 近貞月乃

司教 北川辰彦
工場長 石飛幸治
バマタボア 宇部洋之
グランテール 菊地まさはる
フイイ 神田恭兵
コンブフェール 杉山有大
クールフェラック 高舛裕一
プルベール 杉野俊太郎
ジョリ 篠田裕介
レーグル 高野二郎
バベ 藤田光之
ブリジョン 北村がく
ラクスー 萬谷法英
モンパルナス 西川大貴
ファクトリーガール 池谷祐子
かつら屋 般若愛実
買入屋 柳本奈都子
マダム 吉川恭子
女 浅野実奈子
女 藤咲みどり
女 石田佳名子
女 綿引さやか
女 島田彩
女 山岸麻美子

指揮 若林裕治



旧演出のラストで抜擢された吉原バルジャン。
その時は、観ることができなかったのですが、その後、別の舞台で慈愛ある役柄を演じていらっしゃるのを拝見して、次があれば絶対観たい!と思っていました。
そして、勿論、四季退団後の初舞台となる福井さんのジャベール。
発表されたときから、吉原バルジャンと福井ジャベールの組み合わせが一番観たい!と思っていたので、この日のチケットを取りました。

…で、実際観た感想は…。
うん、やっぱりいい!
でも、逆の配役でも、とってもいい感じがする!

大阪と名古屋で、この逆の配役の公演のチケットを取っているので、楽しみです。
今回と同じ、吉原バルと福井ジャベも一回あるので、そちらも楽しみ。
ただ、バル×ジャベにこだわったら、他のキャストさんには大きな偏りが生じたのはちょっと残念。
ま、今期のレミは、急なキャスト変更もあるらしいので、当日までわかりませんけどね(笑)



以下、新演出のネタバレを含む感想です。


劇場に入って、まず思ったのが。

舞台が狭い。

上手・下手に建物のセットが置かれていて、袖前って言うのかな? 舞台脇の通路のようなところ、あそこにもバリケードのようなセットが置かれています。
幕はまだ閉まっていますが、舞台を小さくして使ってる?
建物のセットは2階建てで、バルコニーというか、窓がありまして。
…ウエストサイド?とか思ったり。

帝劇といえば、舞台が広い!というイメージでしたので、ちょっと違和感がありました。
実際に幕が開くと、狭いという印象は減りましたが。
でも、やっぱり盆はあって欲しいなあ…というのは、ありました。


さて、演出です。
囚人の労働、舟になったんですね。
紗幕の向こうで舟を漕ぐ囚人達。
紗幕に水しぶきが投影されてましたが。
紗幕が上がると、どうせ見えなくなるし、水しぶきはなくてもいいかも?

歌は、前と変わらず。
でも、ソロになると手が止まっている囚人もいました。
(「主よ、主よ、殺してくれ」の囚人なんかは、祈っていたし)
船を漕いでいるのに手を止めたら、一緒に櫂を握っている人に迷惑がかかるじゃないか!
(一つの櫂に、二人の囚人なので、実際に一人が力を抜くと、相棒が大変だと思うよ)

後ろで、鞭のようなものを振りまわす看守。
前は、この看守の一人がマリウス枠だったけど、今回はどうなんでしょう?
山崎さんのブログでは、最初は囚人、とあったので、ちょっと枠も変わっているのかな。

ここで、登場したバルジャン。
若い。そして荒々しい。
許可証を貰って、出ていくところ、赤いベストを着せられて、杖を手にして…。
映画のバルジャン?

盆がないから、労働者や宿屋の人たちは、袖から現れます。
セットも。
バックには、スクリーンに投影された風景が。
成る程、これが新演出。

そして、プロローグでの衝撃は、バルジャンが子どもから小銭を奪っていること!
ええ、このシーンはあってもいいです。
原作にもあるシーンですから。
しかし、挿入する場所が違うだろう!
宿屋に行く前に奪っていますよ?
それじゃあ、ただの泥棒じゃないかぁ…。
この一事が、後々の伏線にもなるのに(原作では)、使う気がないなら最初から入れないで欲しかったなあ…。

司教様の登場は、「さあ、入りなさい」でうるっと来てしまいました。
許可証を差し出すバルジャンに、「それはいいから」と首を振る司教様。
怯えるようにバルジャンを見る司教様の妹と召使いの女性…あ、ここもテナルディエ夫人枠から変わってるのね。

バルジャンの独白…については、バルジャンの感想で書くとして、許可証を破り捨てたあと、ばばーんと幕にタイトルが!
何事?!とちょっと笑いそうになりました。


「一日の終わり」は、工場で働けない人、と工場内の人が明確に分けられていました。
そして、工場はちゃんと、ガラス玉の工場でした。
これも、映画風?


売春宿…はセット、なのはいいとして。
バマタボアに何故ファンテが反抗するのかは、こちらの方がわかりやすかったです。
…バマタボア、ファンテをガンガン蹴ってます。
暴力男、酷すぎ。
登場するジャベール、真面目な警官風です。
悪に対しての異常な嫌悪感!というのは感じられず。
そして、バルジャン。どこにいた?
急に裏から出てくるからびっくりしたよ。
そして、「この子はどうなるのか」の「この子」はファンテなのねー。

そのあとの、「馬車が暴走してくるわ!」は、セットがある弊害が。
売春宿のあるところではなく、別の場所に場面チェンジしているんですよね。(たぶん)
だから、「しかし、市長! ですが、市長!」と繋がりつつ別場面設定という、なんだかよくわからないことに。
これは、セットがないからこそ、旧演出では特に不自然に感じなかったんだなあ。
でも、セットが後ろで変わっていくのをみていると、すんごい不自然。
さらに、このシーンは、バルジャンの「Who am I?」にも繋がって、裁判所に繋がって、病院に繋がって…とめまぐるしく場面展開があります。
ものすごく、バタバタした感じになってしまって、残念。
ジャベールが呆然と立ちつくして、盆が回って、病院に…というあの余韻が消えちゃいましたね。

ファンテの臨終は概ね変わらずなのですが、対決が。
ジャベール、何故、鎖つき手錠を出すかな?
いや、出すだけならいいんですが、何故、バルジャンと二人で引っ張り合うかな?
もう、笑えて笑えて。
でっかい男二人が、鎖を引っ張り合っているってどうよ?
歌に集中できなかったじゃないかー!
あそこ、じりじりとした緊迫感があったんだけど。
次見るとき、きっと笑いを堪えるのに必死になるわ、私。


宿屋は、セットが小さいけど、まあ、概ね同じ。
二人目の金持ちのお客の「こりゃまた、重いね」が、鳥籠なのがちょっと謎です。
そのうえ、旅行?飲み?どっちにしろ何故カナリア(色からして)を連れてくるんだろうか?
テナルディエと夫人の手癖は、映画なみに素早くなっていました。

コゼットとバルジャンの出会いは、いきなり桶をひっくり返すコゼット。
水、持って帰らないのか。
宿屋で、荷物から手を離すバルジャン。
いや、そこは手も目も離しちゃだめでしょ?
そして、歌詞が一部変わりました。
「まさか、銭は、値切ったりすまーいなー」が、「金で片を付けられる問題じゃない」とかなんとか。
あと、映画と同様に「コレット」と言い間違えて、マダムに怒られるテナルディエでした。

その後は、リトルコゼットにドレスを着せて…って黒じゃないのね。
くるくる〜のあと、お姫様のように先を気取った感じで歩くコゼット。
バルジャンを従えて…というようなのが、ちょっとかわいいけど生意気な感じ。
でも、怖い大人が出てくると怯えて、バルジャンの後ろに隠れて…そのまま闇へ。


で、パリです。
脇のセットが寄ってきて、街の路地裏という感じに。
あれ、そういえば、若い娼婦と老婆、出てきたっけ?
ガブローシュのソロ、「ついてこい!」が「Viva!France!」に変わっていました。
アンジョとマリウスの歌は、そこに更に学生が二人加わって、街角の演説風に。
加わった学生二人、誰だろう? 一人、いい声の人がいました。
ラストのガブの「俺達、万歳!」は、先に「Viva! France!」が来たからか、変わっていました。
ガブの位置取りも、センターではなく、上手セットの2階バルコニー。
テナルディエ一家を、2階から見下ろして、「おいら、やだね」と歌っていました。
そして、ガブに変わってセンターを取ったのはエポ!

エポ、演出としては変わっていないんですが、この日は昆エポで。
ちっちゃいんですよ。
だから、マリウスが、恋愛対象外と思っているのがものすごく納得なんですよ。
そして、コゼにひとめぼれするマリウスを見たときのエポの絶望感。
同い年でも、マリウスの恋愛対象となりうるコゼット。
それは、階級もあるんですよね。
もともと、コゼットだって、ファンテという下層の女性の私生児で、普通に生きてきたらマリウスと釣り合うはずないのに。
なんて、考えさせる、三人の出会いでした。

この時点でのジャベールも、まだ真面目なお巡りさん。
「スターズ」は橋で歌っていました。
歌の前だったと思いますが、ジャベとすれ違ったガブ、しっかり顔を見据えて敬礼。
これは、一応、伏線かな。

abcカフェは、見た感じ、以前と変化は少ないです。
そして、やっぱり学生さんにいい声の人がいるー。
アンジョは、なんというか、理想家で、あんまり人の気持ちとかに斟酌しない感じかな。
「僕らにゃ大きな使命があるのだ」は気にならなかったから、きっと「僕らにゃ」じゃなかったと思われます。
(いつも、この歌詞が気になっていたので)
ガブは、ここでは控え目ですが、全体に、小さな革命家という感じで、意外としっかりした信念であの戦いに加わってる感じです。

ビラをバラバラとまく、そこから民衆の歌、という流れはなくなってちょっと残念。
あのシーンは視覚的にきれいだったので。
民衆の歌は、物見台の様なところから、演説する学生。


プリュメ街では、コゼットがやたらとバタバタしています。
パパに対して、ちょっと反抗的な娘。
バルジャンは、外から帰ってこず、家の中から登場です。
そして、マリウスとエポ登場。
コゼは家の中です。
マリウス、大胆にも庭に入り込み、小石を窓にこつん!
窓が開いて、マリウスを見つけたコゼット、そのまま部屋の中に。
「君を困らせた〜」と歌っている間に、コゼット庭に降りてくる。
そこで、デュエットです。
エポも入って、三重唱…は、ラストが微妙でした。
ちょっとコゼットの音が上がりきらなかった?(これは、あとのバルジャン入れての三重唱でも)

襲撃は、マリウスには開けられなかった門をあっさり開けてしまうテナルディエ一家。
コゼットの部屋の窓から侵入しようと、バルコニーにぶら下がるテナルディエ。
かなりの危機です。
あの状態で、「悲鳴を上げるよ?」で、逃げるかなあ…テナルディエ。
でも、あの状態だと確かに「助けてくれたよ!」はぴったり合うかも。
そして、バルジャンが登場すると、演技っぽく倒れ込みコゼ。
なんだ、その演技? 襲われそうになったっていう演技なのかな?


「ワン・デイ・モア」は、唯一、受け入れられなかったシーンかも。
他のシーンもいろいろ書いていますが、概ね、ありかな、と見ていられたのです。
でも、「ワン・デイ・モア」だけは、旧演出のままであって欲しかった…。

まずバルジャン。
庭で歌い始めます。
マリウス、上手の2階バルコニーで歌い、コゼット、下手の2階バルコニーで歌い。
エポが、上手よりで歌い始めるんですが。
位置取りとかが、「ウエストサイド物語」の五重唱に見えてしまう…。
エポの位置なんて、まんまアニタですよ。
バルコニーだし、マリウスとコゼットは、トニーとマリアか?
アンジョが出てきて歌い出すと、ジェット団とかに見えるし。
バルジャンはソロが終わると部屋に引っ込んで、歌うときにまた登場。
テナルディエ達は、上手袖通路のセット2階から歌う。
ジャベールは、まだ、学生の列には加わらない。
(確かに、加わるのは「昔は俺も戦った!」なので、間違っていないけど!)

ラストは、真ん中にアンジョ、隣にマリウス、エポを加えた民衆。
上手にジャベール、下手にバルジャンとコゼット。
上手袖にテナルディエ夫婦。
そして、音楽が終わると、幕が下りるでなく、はけていく役者さんが見える。
ちょっと余韻とかあるので、幕が下りた方がいいな。

しかし、やはり、ここは旧演出がよかったな。
準備をしながら、心はマリウスの元へ飛んでいくコゼット。
二人の心が寄り添っているのに別れなければならないということがわかる、あの演出はよかった。
一方、コゼットとの思い出に浸るバルジャンとの対比。
お人形を見つめ、銀の燭台を見つめ…そのシーンはばっさりなかった。
…あって欲しかった。
ジャベールが学生達の群れに紛れていくのも良かったんだよね。
セットがあるから、セットに縛られてしまった感じです。
セットがなかったからこそ、実際の風景と心の風景とがうまく描かれていたと思います。


二幕。
帽子で髪をすっぽり隠しているエポは、少年にしか見えません。
手紙を頼むマリウスは、コゼのことだけ考えているわけではなく、エポをここから離そうとしているのもわかります。
バルジャンに手紙を渡すときのエポ。
庭に入り込んで、窓に向かってぴょんぴょん。
バルジャンに不審者と思われて、追っ払われそうになって、帽子をとります。
これは、あれだね。
女の子アピールをしないと、バルジャンにぶちのめされると思ったんじゃないか?
手紙を渡したら、安心して帰っていく…あれ?駄賃もらったっけ?

「オン・マイ・オウン」の後、帽子をかぶり直して、バリケードへ戻る演出は、旧演出と似ていた気がする。
バリケードは、結構隙間だらけで、弾が入ってきそうです。
エポはマリウスに見つからないように、バリケードに既に帰ってきています。
そして、襲撃で、マリウスが狙われたのを庇って撃たれるエポ。
しかも、誰にも気づいて貰えないエポ!
もちろん、マリウスもエポに助けられたことに気がついてないんですよ。
この報われなさ…まさにエポニーヌじゃないですか…(涙)

そして、このエポとマリウスを見守る人々。
その中のガブが、だいぶ悲しんでいるんですけど、姉弟設定あります?
グランテールに慰められたり、運ばれていくエポをじっと見送ったり…。
ちょっと特別な感じを受けたのですが、どうなんでしょう?
ただ、姉弟だとはじめの「宿屋をやってたらしいが〜」あたりの歌と整合性がなくなるんですけどもね。


ジャベールとバルジャンの対決パート2、この辺りからのジャベールの睨みが非常に格好良かったです。
ちょっとジャベールらしい執念とかが見えてきた感じ?
ジャベールを逃がしてから、銃を撃った後、学生の一人が「よくやってくれました」と言っていましたが。
その台詞、いるかなあ?

そのあとの「マリウス、休め」の前、歌詞が「誰も寝るな」が「市民は来る」に変わっていました。
うん、「誰も寝るな」なのに、マリウスだけ「休め」なのが変だってことですね!
マリウスは、腰掛けて机に突っ伏して寝てました。
この寝方は、熟睡できないと思う。
でも、立て膝で寝るよりは自然ですね。

ラスト・アタックは、ガブの死が辛すぎました。
バリケード回らないし、どうするんだろうと思っていたんです。
ガブの姿は見えませんが、歌だけ聞こえます。
銃声も聞こえました。
どうなったんだろう?
鞄が投げられ、学生の手に渡りました。
ガブは?
バリケードの向こうで何があったかわからないまま、ガブの歌。
そして、戻ってきたガブ。
バリケードの上で、撃たれて絶命するガブ。
これは、あかんよ…。
帰ってきたのに、ここまで来たのに、死なせるなんて。
グランテールに抱かれて、舞台の端にそっと横たえられるガブ。
切なかったです。

そのあとの全滅に向けては…。
それぞれにスポットが当たって、死に様を見せていましたが。
グランテールは最後に、旧演出同様に、バリケードの真ん中で酒瓶を振りまわしながら逝きました。
でも、今回のグランテールはアンジョとの関係が薄いというか、原作とは違う関係みたいです。
そんな中でバルジャン、思いっきりマリウスのことしか考えていません。
いや、そこは、もうちょっと学生達を悼んでよ…。
死体の中からマリウスを探すことだけに必死。
見つけたら助けることに必死です。
ここは映画みたいに、死んだ学生達を並べてあげてもよかったんじゃないのかな?
それに対してジャベールは、バルジャンを捜すことに必死なんですが、ガブの頭を撫でたり、ちょっとラッセル・クロウ寄りです。

地下道は、バックが動く演出。
ジャベールと向き合うときは、バルジャン、マリウスをお姫様抱っこです。
しかも「見ろ!ジャベール!」で、お姫様抱っこのまま、ぐっとマリウスの顔を見せる。
これは、腰が悪い役者さんだとキツイ演出だなあ。
普通に成年男子をお姫様抱っこするだけでも大変だと思うのに。

続く自殺は、ジャベ、髪は短いのね。
そして、橋が上がって、足はぶらぶら〜と…。
橋のセットは以前のものより大きくて、ちゃんと橋でした。
柵の向こうでしがみつくのではなく、欄干の上に立っていました。
その辺は、リアルです。


空の椅子とテーブル。
椅子とテーブルは、無し。
ロウソクが床に置かれ、学生達がそれを手に取り、吹き消す演出。
…ちょっと意味がわかりません。
ガブは、グランテールと仲良く登場。
アンジョとグランテールは、接点無しです。


帰ってきたマリウス。
…って、ここどこ?
マリウスのおじいちゃんの家?
それとも、バルジャンの家?

バルジャンが、家から出てきて、「話がある」とか言うから、どっちの家だかわからなかったです。
というか、普通に見ていたら、コゼットの家に送り届けられたみたいだった。

結婚式、これも、わざわざマリウスは一旦袖にはけました。
そのまま、幕の向こうのコゼットや招待客に混じってもいいやん!
はけることで、違う場所って言いたいんだろうな…。
でも、もうちょっと自由度あってもいいよ。

指輪を渡すところ、マリウスは、ポケットをあちこち探り、身体をぽんぽん。
指輪がどこにあるか、探していたっぽいです。

テナルディエ夫人、いつの間に銀盆とかくすねたんだか。
わからなかったわー。
お二人の化粧は、普通で、白塗りではありません。
どうせなら、ここ、映画みたいに道に放り出して欲しかったな。
楽しそうに「お前らと地獄で!」でなくていいかも。


エピローグ。
コゼットが来て幸せそうなバルジャン。
バルジャンの首にしがみつくコゼット。
二人の間にちゃんと愛があるように見えてよかったです。
マリウスは、一歩下がっていて、「愚かな僕許して〜」で急に出てくるからちょっとびっくりした。

で、ここファンテはいいんだけど、エポにまでにっこりと微笑みかけるバルジャン。
何故??
手紙を届けてくれたってことしか、接点ないのに?
大切な息子、マリウスを助けてくれたことを、死んだ今はわかったからか?

そして、みんなが現れる中に、混じっている司教様。
うーーーーーーーーーーん、司教様を出すなら、別格扱いにして欲しかった。
映画みたいに。
その他大勢の一人で出すなら、出さない方がいいよ。
映画の演出がよかったから、余計に勿体ない。
変になぞるくらいなら、映画だけの特別な演出にしておいて欲しかったなあ。



以下、更に、個別感想など。
長々すみません(^^;


■バルジャン
先にもちょっと書きましたが、若い!
そして、荒々しい。
映画のバルジャンと似ていて、はじめの方はまさに「野獣」って感じ。
それも、手負いの野獣です。
その辺はいいんだけど、司教様にであって「兄弟と俺を呼んだ」とか、もうちょっと改心の掘り下げが欲しいなあ。
これまでの自分を捨てて、新たな自分に生まれ変わるのだ!というところが、もう一つ感動しきれず。

市長になってからは、やや存在感薄目。
「Who am I?」とか、もっと葛藤して欲しい。
もしかしたら、その辺は、私がセットに気を取られすぎていたのかもしれないですが。

対決は、これも先に書いたとおり。
とにかく、二人とも真面目なんですが、絵的に面白すぎる。
歌に集中させて欲しいです(笑)

慈愛の演技は、期待値が高すぎたかなあ。
どうしても別所さんと比べてしまって、物足りない感じです。
でも、表情などまでしっかり見ていると、いい顔されているんです。
だから、もう少し前で見ると、印象は変わるかもしれません。
特に、今回は、全体を見たくて、ほとんどオペラグラスを使っていないので…。
エピローグのコゼットに抱かれて絶命するときの幸せそうな顔は、本当にバルジャンらしくて良かったです。


■ジャベール
「星よ」と「自殺」、凄く良かったです。
「星よ」に関しては、1幕で一番聞かせられた歌。
声がいいのもありますが、それ以上に、信念みたいなものがしっかり表されていてよかったです。
偏執狂っぽさはなかったけど。

バリケード以降は、表情も固くなって、迷いの中で葛藤しているのがわかって、とても良かったと思います。
前半は、ちょっといい人っぽさが出ていたかなあ。
ジャベなりにそういう生き方しかできなかったんだ…という風には思えませんでした。
そういうところを考えると、バルジャンの方が良いかも知れない。
そして、吉原さんのジャベもいい感じがする。
ので、お二人の役柄を入れ替えたバージョンを見られるのを楽しみにしたいと思います。


■エポニーヌ
これも先に書きましたが、小さいので、マリウスに相手にされないのが納得なんです。
マリウスには、恋愛対象ではないんですね。
ガブローシュと同じくくりかと。
たまたま、性別は女の子だったけど、マリウスにとっては、まとわりついている子どもでしかなかったかと。
そして、エポにもわかっていたんですよね。
だから、コゼットを見たときの泣き出しそうな顔。
「オン・マイ・オウン」も泣きそうで、辛そうな顔でした。
バリケードに戻っていくときの顔も良かったです。
まさに「死にに行く」決心をしたんだなあ。


■ファンテーヌ
病院での演技が、さすが。
泣かされました。
「夢やぶれて」は、アン=ハサウェイが良すぎたからなぁ。
シーンとしても、娼婦に堕ちてからのほうが合っていたし。


■コゼット
特に印象はないですが、エピローグでバルジャンを抱きしめるときの顔は好き。
ただ、高音が微妙にずれていた感じがあったのが残念です。
髪はアップにしていて、なるほど上流階級の女性なら、髪を結うんだなあと思いました。


■マリウス
すっとした感じの学生。
泥臭さはあんまりなくて、エポやコゼがひとめぼれするのはわかる感じ?
そして、全然エポのことをわかっていなくて。
歌は、文句無しで、アンジョと二人(ともう一人の学生と)いい声でした。


■アンジョルラス
カリスマ性はあまり感じないです。
歌も、圧倒的な迫力ではなかったです。
ジョンの時はもっと「おお!」という感じだったんですが。
周りの学生もいい声だから?
ただ、なんというか、理想家肌で、夢見がちなところもある革命家らしさがありました。
その理想に周りの学生達も巻き込まれてしまった感じ。


■ガブローシュ
成長したなあ…(涙)
もともと、ガブで一番泣く人なので、今回の死に様はとってもやばかったです。
一歩間違えば号泣モードでした。
声もでていて、演技も子どもなりに革命家で、誰かに依存していないガブでした。


■リトルコゼット
見せ場のソロが、ひっくり返りそうでした。
声が、なんというか倍音
びーって感じの声で、ここは澄んだ声でお願いしたかったところ。
喉に何かが引っかかった感じでしたので、調子が悪かったのかも。


■テナルディエ夫婦
いい感じで、嫌なヤツでもありました。
夫人が、ちょこちょこ真面目に笑いを取っていました。


■学生さん
誰だかわからないけどいい声の人。
誰だか知りたいところです。
グランテールは、ガブと仲良し設定でしたが、これ、映画とは違うんだなあ。
司教様の役は、前回と同じで「彼女を裏切るなー」のソロも歌っていたと思ったんですが、レーグルは別にいるし違うのかな?


■女
…なんだ、この役名。
初演当時みたいだなあ。(再演時もしばらく「女」だった気がするけど)
いや、それでいいんだけど、アンサンブルとかでもいいのに。
特に印象に残った、女性アンサンブルさんはいなかったです。
でも、コーラスは、男性女性ともよかったです。
ちゃんとまとまっていた。
変に目立つ人がいないのは、よかったです。
旧演出ラストの「どぶねずみー」とかは、嫌だったし。
(これは、旧演出のせいではないですが)



総じて、振り返りますと…。
新演出、心配していたほど受け入れられなくはなかったです。
「ワン・デイ・モア」だけは、元に戻して欲しいけど。

あと、セットはともかく、後ろの画像とか、ない方がいいなあ。
気が散って、歌や演技に集中できなかったかも。
何もない、シンプルなセットでいいのになー。
だからといって、あるのが絶対に嫌だ!というわけではありません。
歌とかは変わっていないし、エポの死に様などいいところもあったし。

…ロンドンでは、今でも旧演出なんですよね?
やっぱりロンドンへ行きたいなあ…。