「王様と私」

††キャスト††
シャム王 松平健
アンナ 紫吹淳

タプチム はいだしょうこ
ラムゼイ卿 橋爪淳
チャン夫人 花山佳子
総理大臣 鶴田忍

ルンタ 藤岡正明
サイモン王 真島茂樹
オルトン船長 園田裕久

ルイス 上白石萌音
チュラロンコン王子 中村ルミーナ

アンサンブル
日比野啓一/板垣辰治/瀬野和紀/村上聖/堀江慎也/山本真広/榎本成志/永井誠/松永好永/澪乃せいら/香月彩里/渡辺万由湖/豊城礼/岩瀬みづほ/香野美幸/中西彩加

海チーム(子役)
石井恋/渡辺さき/柄沢玲奈/古口貴子/藤巻勇威/田邊揺子/加瀬みれい/伊藤涼介








ミュージカルの楽しさを全国に!「王様と私」が18都市を回ります。

というキャッチフレーズで、低料金で提供されている舞台です。
「ハローミュージカル!プロジェクト」と名付けられているそうです。
地元ホールで開催され、また、本当に低料金(3500円)でしたので、行ってきました。


王様と私」といえば、昔の映画をテレビで見たことがあったかな…?
確か、ユリなんとかさんが王様をやっていらっしゃった…くらいの記憶しかありません。
ユリ・ゲラー」? いやいや、それはスプーン曲げる人(^^;



お話としては、欧米の干渉から国を守るために欧米の教育を導入しようとした王様の物語。
自分が王である、という意識から、古い慣習にこだわりつつ、そこからの脱却をはからねばならないことも理解している。
自ら学び、アンナというイギリス人の目を通して西欧から見た自国を見て、葛藤する王様。
王様の教育が実を結び、次代の王は名君として名を残した。

調べてみると、この話は実話をもとにしているらしいです。
ただ、本当のアンナさんには虚言癖があったため、あくまでも実話ベースの物語と考えた方がよいらしい。
チュラロンコン王子は、やっぱりあのチュラロンコンさん(ラーマ5世)でした。

■シャム王
歌はちょっと…でしたが、自らの生き方を問い直す葛藤の部分などよかったです。
最初の歌は、ちょっと退屈に感じたのですが、2曲目からは、気持ちが伝わってきました。
そうは見せないんですが、国を守るために必要なことを模索する王様。
アンナに「予より頭を高くするな」と約束をして、「予は座ったぞ?」「予は寝そべっているぞ?」とアンナを見るのが面白かったです。
お茶目な感じで、可愛かった。
「シャル・ウィ・ダンス」のシーンは、美女と野獣のダンスシーンを思い出しました。
王様とアンナは飛び跳ねていて、ベルとビーストとはちょっと違うんですが、初めて踊る王様の心の動きと、ビーストの心の動きが似ているような気がしたのです。

まとめると。
ちょっと物言いが乱暴なのですが、お茶目で可愛い、そして真剣に国を憂いている、実は誠実な王様でした。
カテコで、もう一度アンナとのダンスがありましたが、こちらも楽しそうで、とっても可愛かったです。


■アンナ
台詞が宝塚調でした。
宝塚を見ているならそうでもなかったのでしょうが、この舞台ではちょっと浮いているというか。
アンナの気持ちが伝わってこなくて、怒っても泣いても、どこか嘘っぽく感じてしまいました。
勿体ないなあ。


■タプチム
これが、しょうこお姉さんの歌!という、高音域の澄んだ歌声を聞かせていただきました。
ルンタとのデュエットは、聞き応えがあった!
そして、可愛かったです、タプチム。
劇中劇の「トーマス小父さんの小さな小屋」のナレーションもよかった。


■チャン夫人
シャム王の第1夫人。
ソロが一曲あって、やや声がかすれ気味でしたが、王を思う気持ちが切々と伝わってきました。
演技でいえば、この人が一番好き。
抑え気味の演技の中に、忠実に王を思う気持ちが秘められていて。
控え目で、出過ぎず、でも、お芝居をしっかり締めてくれる存在でした。


■ルンタ
ちょっと設定がよくわからなかったんですが、タプチムをビルマから連れてきた人?
シャムで僧の修行をする許しを貰ってたようにも思ったのですが。
どういう経緯で、シャムにいるのかがちょっとわからなかった人。
でも、役割としてはタプチムの恋人として、タプチムをさらおうとする人。
恋人同士なので、デュエットが何回かあります。
藤岡さん、久しぶりに歌を聴きましたが、こんなにいい声でしたっけ?
ちょっと坂元さんばりで、格好いい…と思ってしまいました。
歌に関しては、今回一番の人です。
演技は、もうちょっとタプチムへの思いやりが欲しかったかな。
好きだ、好きだ、好きだーと思いを押しつけるばかりに感じたのが、残念。


■ルイスとチュラロンコン皇子
どちらも、雰囲気出ていました。
ルイスは、良家のお坊ちゃん風。
チュラロンコン王子も、素直な頭のよい子風。
特にチュラロンコン王子は、初めから少しずつ成長していく様が見えてよかったです。


■海チーム
子役さん達、めちゃめちゃ可愛かったです。
「アンナ先生やめないで」と取り囲むところは、SOMを彷彿とさせました。
王子の一人が持っていた、大きな象のぬいぐるみ。
カラフルで可愛かったです。
ちっちゃいサイズで、グッズとして売ってくれたら、私は買うぞw


■その他
サイモン王の真島さん。
これは、劇中劇の敵役です。
お面をつけているので、全然真島さんとはわかりませんでした。

あと、日比野さんが出演されているのをプログラムで知り、探したのですが、ダンスシーンでは見つけられず。
最後の方で、通訳の役をされていたのがわかりました。
でも、ダンスを見たかったー。

王様の所で、歌が退屈だったと書きましたが、実は、これははじめの何曲かはどれもそうでした。
最初の、アンナとルイスの歌も、あまり面白くないなあ…。
そこにダンスが加わってくると、いきなり面白くなる。
アンナの授業で、お妃の一人が踊り出し、他の人たちも踊り出すと、シーンが生きて来た感じです。
やっぱりミュージカルは、歌だけではないですね。
ソロでも、棒立ちで歌うのでなく、きちんと心が籠もっていると生きてきます。
1幕途中からは、そういう歌が多くなってよかったです。

あと!
そう、これだけは書いておこう!

1幕、幕が開いたとき、拍手が。
アンナが歌い出したとき、王様が登場したときも。
宝塚だと、そうするのが礼儀なんですけど、松平さんの舞台とかでもそうなのかしら?
私、こういう風に、登場だけで拍手が起こるのってちょっと苦手です。
宝塚を見に行くときや、歌舞伎の見得とかだと、そういうものだと思っているから気にならないし、「郷には入れば郷に従え」ですから、拍手もしますが。
普通のミュージカルのときは、そういうのないといいなあ…と思うのは、我が侭ですかね?


そして、もう一つ。
劇中劇の「トーマス小父さんの小さな小屋」よかったです。
シャム風アレンジが、すごくよい感じでした。
話はちょっと変えてあるのと、よくあるようにイライザが無事逃げのびた、というところで終わっているのと。
その辺、気にはなりましたが(特に、トムがイライザと共に逃げのびたってのは、ダメでしょ?)でも、一本のお芝居として見応えがありました。