「旅猫リポート」

旅猫リポート
 有川 浩著


吾輩は猫である、名前はまだない」という某小説の冒頭を使った始まり。
元野良の雄猫が、青年と出会って始まる物語です。

この猫が、青年の猫になるときのツンデレぶりが、猫らしくて可愛いvv
怪我をして、怪我が治るまでのつもりで青年の世話になっていた猫。
怪我が治ったから…と颯爽と出ていこうとしたときに、青年が「出ていって欲しくない」と思っていたことに気づいて、「あれ?出て行かなくていいの?出て行けって言われる前に格好良く出ていこうと思ったんだけど…それじゃあ、いてもいいよ?」的に青年の猫になるのが、可愛いじゃないですかvv


その後、青年によんどころない事情ができて、猫は、青年の友達の中で、猫を引き受けてくれそうな人の所へ旅をする。


小学生の時の友達。
中学生の時の友達。
高校生の時の友達。


みんな連絡を取ったときは、猫を引き受けるよって言うんですが、実際に猫と出会うと、ちょっとうまく行かない。


でも、それは、猫自身が、青年と離れたくないから。
青年が本当にいい人で、青年を大好きな猫の気持ちがよくわかります。


思わず涙がこぼれそうになったのは、ある人のこんな台詞。
「聞かないでください。聞かれたら、ダメとしか言えません!」


猫と青年の、強い繋がりと。
猫の青年への思いの強さと。
人と人との繋がりと。


切ないけれど、とっても素敵な物語です。
猫好きなら、きっとはまっちゃうんではないでしょうか?