「荒神」

荒神
宮部みゆき

荒神


朝日新聞に連載され、加筆修正されて出版されたそうです。


徳川綱吉の治世、東北の山が舞台です。
その山は、二つの藩の境にあります。
もともとは、一つの国でしたが、関ヶ原の合戦で、一方は東軍に寝返って外様大名となり、もう一方は西軍に最後まで味方したものの、武勇を惜しまれ、外様大名となった隣の藩の分の領地を失ってお家は取りつぶしを免れました。
以来、両者には、それぞれ恨みが残っています。

その、外様大名の方側で、一つの村が消えました。
村の生き残りの少年は、もう一方の藩側の人間に助けられました。

村を襲ったのは怪物の正体は?
そして、村人達、二つの藩の人々は、怪物を退治できるのか?


怪物の描写が生々しくて、結構リアルに目に浮かぶようです。
魑魅魍魎が息づいていた江戸時代が舞台だからこそ物語に現実味が感じられます。

読み終わったときに、面白かったですが…。
宮部さんの作品を読みおえたときの、なんともいえないあたたかい気持ちとかが、少し足りないような気がしました。

山の神とは違いますが、神々しさは十分に感じました。
でも、ちょっと神々しすぎて…。
醜くても、人が人らしく描かれている作品の方がいいかな…私には。

そして、人が救われる物語がいいな。
ちょっとこのお話は…一応、ハッピーエンドかもしれませんが、辛く感じました。