「レディ・ベス」('14/7/30ソワレ)

ミュージカル
「レディ・ベス」


梅田芸術劇場にて。
エスカレーターを上ったところでは、城田さんファントムの立て看板がお出迎え。

後ろの照明が入らないように努力したのですが、うまくいかず。
こういうときに、スマホだったら綺麗に撮れるんだろうなあ…と思います。



さて、キャストです。
花總さんに石丸さんに吉沢さん、この3人にこだわってみました。
そうすると、この組み合わせは大阪では2回しかありませんでした。
日曜昼と平日夜です。
日曜昼はちょっと倍率高そうだから…と避けて、この日に行って来ました。



††キャスト††
レディ・ベス 花總まり
ロビン・ブレイク 山崎育三郎

メアリー・チューダー 吉沢梨絵
フェリペ 古川雄大
アン・ブーリン 和音美桜
シモン・ルナール 吉野圭吾
ガーディナー 石川禅

ロジャー・アスカム 石丸幹二

キャット・アシュリー 涼風真世


大谷美智浩/中山昇/平間壮一/加藤潤一/寺元健一郎

朝隈濯朗/伊藤潤一郎/榎本成志/奥山寛/川口大地/黒沼充/高橋卓爾/武内耕/田中秀哉/橋本好弘/松下湧貴/山名孝幸/横山達夫

池町映菜/石田佳名子/石原絵理/樺島麻美/小松春佳/島田彩/真記子/安岡千夏/柳本奈都子


脚本・歌詞 ミヒャエル・クンツェ
音楽・編曲 シルヴェスター・リーヴァイ
演出・訳詞 小池修一郎



オープニングは石丸さんによる、歴史的背景説明でした。

が。

ここをはじめとして、全般的にツッコミたいことが山ほどありました。


私の知識…かなり、間違ってたか?

まず、イギリス国教会って、プロテスタント
カトリックだと離婚できないから、離婚するために新しい分派を作ったんじゃなかっけ?

で、キャサリン王妃が離婚されたのは、アン・ブーリンに子供ができて、男子だと思って、跡継ぎにするために私生児扱いにしないためじゃなかった?
アン・ブーリンが処刑されたのは、不義密通の冤罪だったのをヘンリー8世が知らなかったとあったけど、むしろヘンリー8世がでっち上げたんじゃなかったっけ?

しかも、まるで二人姉妹のように描かれてたけど、弟いたよね。

エリザベスは、父王を「偉大な王」って言ってましたが、(更に母親は不義密通をした恥さらし的な扱い)ヘンリー8世を「偉大な」と評価するのは…エリザベスとしてはどう?
むしろ、父王を恨んでいてもおかしくないと思うんですけど。

メアリーがエリザベスを「淫売の娘」というのは、不義密通故というより、メアリーの母親から父王を奪ったから、の方がしっくりきます。
だって、アン・ブーリンはキャサリンの侍女だったはずだから。


などなど、いちいち心の中でツッコミながら観劇してました。


エリザベスが結婚しない理由も、秘められた恋人故ってのも、ねぇ?
他国からの干渉を廃するために生涯独身を通したんでしょ?
愛人はちゃんといたし。
正直、操を立てるに値する恋人とも思えない。(←ひどい?)


※追記
このあたり、ネットで調べてみました。

まずイギリス国教会の位置づけについて。
これは、カトリックプロテスタントか、と言われればプロテスタントなんだそうです。
ただし、教義的にはプロテスタントカトリックの中間、橋渡し的な位置づけだとか。
私の知識だと、プロテスタントといえば、ルターの宗教改革などが浮かぶのですが、当時のイギリスの皆様からすれば、やはり、メアリーといえばカトリック、ヘンリー8世やエリザベスはプロテスタントとなるようです。
ただ、観劇中は流してしまったのですが、エリザベスが父王の形見の「新約聖書」を読んでいて取り上げられていました。
新約聖書」=プロテスタント、のような印象を受けましたが、違いますよね。
新約聖書」を認めないのは、ユダヤ教で、キリスト教では認めているはず?
一度しか見ていないから、本のタイトルを聞き間違えているのかな?

ついでに、メアリーとエリザベスは、王位継承権を剥奪されていたようです。
それをヘンリー8世の何人目かのお妃が、王に働きかけて王族に復帰させてくれたらしい。
とすれば、やっぱりエリザベスが「偉大な王」と慕うのは疑問です。

エリザベスが結婚しなかった理由については、いろいろと説があるようで、上に私が書いたような説もある、という程度のようです。
ただ、結婚する?ということをちらつかせることで、上手く外交を行っていたらしいとありました。
あと、実はエリザベスは男だった説もありました。
エリザベスカラーは喉仏を隠すため、白塗りも容貌をはっきり見せないため。
なるほど、そういうのもあるんだなーと興味深かったです。

あと、メアリーとベスの弟、エドワード6世は、「王子とこじき」のモデルだというのも見かけました。
メアリーには同母の兄弟がいたらしいのですが、全員夭折。
アン・ブーリンはベスの後に男児を生んだようですが、死産だかすぐ死んだだか。
そんなこともあって、ヘンリー8世はアン・ブーリンを処刑してしまったんですね。
もともとは熱心なカトリックだったヘンリー8世。
よっぽど男児が欲しかったんだなあ。
…女児でも王位は継承できたらしいので、この辺は、王のこだわりだったんですかね。

※追記終わり


こんな風に、やたらと「史実はどうなの??」とツッコミながら見ていたせいで、ミュージカルを見た!って感じが薄く、史劇を見たという気がしています。


あ、衣装は豪華でしたね!
華やかで、どっしりとした重量感があって、リアルな感じがしました。

星座盤のようなバックと、八百屋舞台で回り舞台のセットもよかったです。
(チラシによれば、「傾斜のついた天文時計模様の盆」だそうです)


照明もきれいで(ウィキッドの呪文のシーンみたいなライトの使い方が好きでした)よかったです。


歌も、コーラスが素晴らしいし、石丸さんはいい声だし、全般に満足。
涼風さんの歌が少なかったのが少し残念でしたが。


一応、お芝居の感想も書いておこうf^_^;
はじめだけだと、ミュージカルの感想ちゃう気がしてしまうので(笑)


以下は個別の感想(手短にw)

■ベス
お人形のようにかわいかった。
にじみ出す、優雅さ、気品、といったものがありました。
町中に、あんな人が現れたら、絶対、特別な御方…と分かってしまうだろうな、という説得力のあるベスでした。
途中で男装のシーンがあるんですが、まー似合わない。
それでも一生懸命変装しているのが、かわいらしいです。
運命の歯車に巻き込まれて、王となる星の下に生まれた、というのが納得できる王女様でした。

ただ、ちょっとなー。
潔癖で正義感があって、な女の子ですが、もう少し理知的で、未来を見通す頭の良さが感じられると良かったなーと思います。

映画でも若き日のエリザベスがありましたが、このエリザベスも少女の間はいろいろやっていました。
しかし、女王となって白塗りの化粧をするところで、偉大なるエリザベス1世になっていくのが分かるように作られていて良かった記憶があります。

こちらのベスは、優しいはかなげな女の子で、王女になっても、「寛大」と言われていたけど、ただ優しい女王になるようにしか思えず。
優しいだけではない、強いリーダーであることをもう少し見せて欲しかったと思います。



■ロビン
うーん、この人って、とっても自己中心的ですよね。
ベスを振り回すだけ振り回して。
仲間が追われたときに「匿って」と城にやってきましたが。
恋人として、あり得ない行動でしょ?
アスカム先生が「見つかったらベスの立場が」と言っていましたが、本当にそう。
どんな言い訳も出来なくなってしまう。
ベスの性格からして、匿ってくれるだろうと分かった上での、この行動、だと思うのです。
最後に、「君の好きにしていいんだ」とか言いますけども。
今更過ぎて!
この人がいなければ、ベスはヘイオンに暮らせたのでは?と思えるくらい。
(冷静に事件を追えば、そんなことはないのですが、そう感じるくらいに邪魔な存在でした)

そんな風にしか見られなかった私は、この二人の恋物語に、全くと言っていいほど、感情移入が出来ませんでした(^^;



■メアリー
よくよく考えると、四季を退団されてから舞台で拝見するのは初めて?
今までの舞台では、ピコにアンにソフィーでしたから、こういう年輩の、しかも敵役って初めて拝見します。
せっかく見るなら、吉沢さんで♪くらいの軽い気持ちだったんですが、メアリー、良かったです。

やや甲高い歌声でしたか、思った以上に迫力があって、癇性なメアリーらしさがあった気がします。
頑なで、古い価値観に縛られたメアリー。

頭も固いし、嫌な姉なんですが、鬱屈した孤独と悲哀があって、実は一番好きな人です。
吉沢さんの実年齢よりだいぶ上の設定のようですが、不自然さは感じませんでした。


■フェリペ
派手好きの、伊達男。
ただの莫迦なのか、それとも深い考えがあって演じているのか。
見たときの印象は「きらびやかだな〜」です。
舞台に登場されるたびに、きらきらの星が飛んでいるかのよう。
何度かベスを助ける?のですが、それも、特に考え無しなのか、深い戦略があるのか…。
綺麗なお顔の、スタイルもよい王子様なんですけど、つかみ所のない御方でした。


アン・ブーリン
肖像画から抜け出したような、アン・ブーリンでした。
舞台上にいるアンは非常に良い存在感がありましたが。
役所としては、見守る母? 冤罪の象徴?
死への恐怖を喚起する存在でしょうか?
今ひとつ、私の中では、存在意義が分からなかった存在です。


■ルナール
濃っ!
フェリペがわかりにくいのと対照的に、いかにも悪企みをしている腹黒そうな男です。
でも、印象といえば、それくらい…。
ちょっと残念。


ガーディナー
こちらも印象が薄いです。
わー、禅さんだ〜と思えるほどには、歌の披露もなく。


■アスカム先生
星見もできる運命の水先案内人。
すこし孔明とイメージがかぶります。
歌は多くて、石丸さんの良いお声をたくさん聞けたのはうれしい。

どこか超越した感じのある人。
今思えば、即位後のベスがこういう風だったら、偉大なる王となるのも納得できそう。


■キャット
家庭教師だったんですね。
ベスのお付きの女官くらいの印象でした。
そこそこ出番は多いのに、歌が少なくて残念。
しかし、歌は低音が多く、私の好きな涼風さんの歌声が堪能できました。
そこは満足です。

若作りのかわいい役ではない、年輩の落ち着いた女性の役だったので、しっとりした品のある愛情深い女性に見えました。


■その他
ロビンの仲間達、歌がうまいなあと思っていたら、お一人は寺元さんでした。
ちゃんとお顔を覚えて拝見していきたい役者さんです。
もうお一人に至っては、どなたかもわかっていない…。
プログラム、購入すべきだったかなあ。