「アクアマリンの神殿」

「アクアマリンの神殿」
 海堂尊:著

アクアマリンの神殿 (単行本)


図書館で見かけて、借りてきました。
モルフェウスの領域」の続編です。

主人公は、「モルフェウス」でコールドスリープしていた、佐々木アツシ。
中等部に編入して、普通の中学生を擬態しながら、「オンディーヌ」見守る役目を負っています。

主なお話は、学校でのお話。
モルフェウス」とは少し趣が違います。
でも、最終的にきちんと「モルフェウス」のお話を終わらせて、決着をつけてくれています。


モルフェウス」を読んでいたときは、なんだか、ちょっと大人びて感じたアツシくん。
イメージは「ナイチンゲールの沈黙」で出てきた兄貴分の瑞人くんみたいで、「モルフェウス」を読みながら、ちょっと混同していました。

今回、アツシくんが田口先生に会いに行く場面があって、そこで彼が幼い日に言った「アツシは勇者になりたいのであります」という言葉を思い出すのですが…。
その瞬間に、ようやく私の中で、「ナイチンゲール」のアツシくんと、このアツシくんが一致し、はからずも泣けてきそうに。

あのアツシくんに、こんな辛い運命が降りかかっていたのかと、改めてわかって、物語とはいえ、やりきれない気持ちになりました。

田口先生も、如月さんも、みんな同じだけの年月を経ているのですが、やはり、大人の変化はそれほど大きくない。
ちっちゃい子どもの変化は、当たり前ですが大きい。

でも、最後まで読んだときに、アツシくんがしっかりと前を見据えて生きていけるであろうことがわかるので、ほっとできます。
読後感として、いい感じで納めてくれはったなーと思います。


海堂さんのお話は、どんどん派生して広がっていきますが、私の中で、気になっているのは、あと2人かな。
モルフェウスのお話も気になっていました)

あと2人。
速水と渡海です。
速水については、ハヤブサなしでどう生きるのかな?という点で気になります。
渡海については、ちらちらとそれらしき影は見えるものの、実際はどうなのかわからないので…あの後どうしたのか、いまどうしているのか、が気になるのでした。