「Lost Memory Theatre」('14/9/7)

「Lost Memory Theatre」

††出演者††
山本耕史
美波
森山開次
白井晃
江波杏子


††踊り手††
伊藤さよ子
後藤いずみ
高瀬瑶子
中嶋野々子


††歌手††
Lisa Papineau
勝沼恭子


††演奏家††
三宅純 [Piano、Fender Rhodes、Flugelhorn]
宮本大路 [Reeds、Flutes、Drums]
今堀恒雄 [Guitar、Mandolin、Oud]
渡辺等 [Bass、Mandolin]
ヒロトモヒロ [Percussion]
noattach strings by Tokyo Akaboshi [弦楽四重奏]


構成・演出:白井晃
原案・音楽:三宅純
テキスト:谷賢一
振付:森山開次
会場:兵庫県立芸術文化センター阪急中ホール


はじめは、四人の踊り手さんたちが、白いヘルメットにヘッドフォンをつけて現れるので、近未来的というか、宇宙人のようというか、不可思議な感じでした。
衣装も、飾り気のない白いシャツにショートパンツで。
しかし、チュチュをつけたり、ヘッドフォンをとったりしていくと、舞台セットがレトロな雰囲気なため、どこかオペラ座の怪人の「楽屋」のシーンのような趣に。

演奏家と歌手さんは、後ろの雛壇にいらっしゃって、場面に応じて前に出てきたり、セットに隠れたり。

歌手さんだけじゃなく、出演者の山本さんや美波さんも歌われていましたが、歌詞が…???
最初は、どこの言葉かもわからず、でした。
断片的に「スカイ」とか聞こえたので、英語かな?と思う歌もあれば、フランス語だろうなという歌もあり。

不思議な空間に迷い込んだ感じの、普通の人・山本さん。
ここにいてはいけないと追い出そうとする美波さん。

音楽の合間に差し込まれる物語は、誰の物語なのかがわからない。

赤いトウシューズを履いた女の子は、スターへの階段を上ろうとした日に足を失い。
母親の期待を裏切る兄と、ダンサーとして成功している弟と。
母親によって連れ出された子どもが、もといた街に戻りたいと願っていると父親が迎えに来てくれた。
映画館の前で見知らぬ少女から、「一緒に映画館に入って」と懇願される女優。

何一つ、自分のものは持たず、持っているのはただ、「異邦人から奪った記憶」だけ。
誰かの記憶に感染する青年。
その記憶は自分が買ったものだと憤る青年。

最後は、山本さんだけが舞台に取り残され。
そのシーンは昔読んだショートショートのよう。

切れ切れのシーンに、一貫した物語があるのか、ないのかも分からない。
とても、不可思議な舞台でした。
はじめに感じた不可思議さとは、全く別の不可思議さ。

前日に、「エヴァンゲリオンQ」を見て、よく分からないとか思ったんですが、この舞台と比べたら、はるかにわかりやすい内容でした。
それくらいに、この舞台は、不可思議な世界を描いていました。

頭で理解するお芝居ではなく、感性でわかる舞台かなあという感想です。

見終わってから、自分なりに解釈してみようとしましたが、難しいです。
人の思い出には、音楽が深く関わっていて、その音楽から記憶がよみがえることがある。
それは、ある特定の個人の思い出なのですが、その個人が消滅したあとにも、音楽に記憶がとどまることがある。
音楽自体に様々な記憶が入り込み、それも含めて、ひとつの作品として世に残っていって。
初めてその音楽に触れた人にも、音楽自体が持っていた記憶が感染していくのだろうか?

そんなことをいっているお芝居だったのかなあと思ったのでした。


ストールン・フロム・ストレンジャーズ

ロスト・メモリー・シアター, Act - 1

ロスト・メモリー・シアター act-2

この舞台、三宅純さんの上記3つのCDから、白井さんが演出・構成をされたそうです。
音楽から生まれたお芝居だから、あんなに不可思議だったのでしょうか??




ところで、このお芝居では、1幕の終わりに、白井さんが客席にいる山本さんに「休憩」と話しかけて休憩に入ります。
私は上手の席でしたので、下手壁際にパイプ椅子で座っていた山本さんに全く気がつかず、1幕終わりでちょっとうらやましいなーと思っておりました。
その後、ロビーに出ると、なんと山本さんと白井さんが!
白井さんは山本さんに「これはお客さん」と説明しながら、ロビーから客席を通り、舞台上に戻ってまだ説明をつづけていらっしゃったようです。
…ようです、というのは、客席に入って行かれたあとは、私はロビーでプログラムを買っていたため。
ひとしきりうろうろしたあと、ロビー設置の画面を見たら白井さんと山本さんが、舞台上にいらっしゃったので、そうなのかなーと思ったのでした。

ロビーですれ違った(といっても、50cmほど離れていましたが)山本さんは、思った以上に背が高くて、「やっぱり格好いいわ〜」と思ったのでした。