「屋根の上のヴァイオリン弾き」2013/4/14マチネ


††キャスト††
テヴィエ 市村正親

ツァイテル(長女) 水夏希
ホーデル(次女) 大塚千弘
チャヴァ(三女) 吉川友

モーテル・カムゾイル 照井裕隆
パーチック 入野自由
フョートカ 上口耕平

ラザール・ウォルフ 鶴田忍

アブラム 石鍋多加史
ラビ(司祭) 青山達三
巡査部長 廣田高志
イエンテ 荒井洸子
シュロイム 真島茂樹

ゴールデ 鳳蘭

アンサンブル
香取新一/祖父江進/日比野啓一/山本真裕/村上幸央/中尾和彦/加州康真/板垣辰治/大森輝順/柴崎義則/石川剛/奈良坂潤紀/品川政治/園山晴子/高塚いおり/塚本理佳/深堀晶子/麻希光/村井麻友美/竹内晶美/遠藤瑠美子/斉藤綾香/野口遥/石丸椎菜


劇場はシアターBRAVA、座席は1階下手サイドブロック。
もともとチケットは持っていなかったのですが、当日に予定が入った知人の代理で観劇してきました。

年末のミスサイゴンの時は、不調に見えた市村さん、この日は絶好調という感じでした。
ものすごく楽しそう。
客席に「何かききたいことない?」とふってみたり。
それに答えるお客さんがいたり…。
でも、そのお客さんが噛んでしまって「落ち着いて」と促したり。
結局、別のお客さんがその質問「しきたりってどういうもの?」と聞いて、「勉強してきたのねぇ〜」
このやり取りって、毎回やってらっしゃったのでしょうか?
お客さんも「今日は私が言うわよ!」とか心構えをしていたり?

役柄としては、軽妙で、飄々としていて、人生を楽しんでいるように見えます。
でも、その「楽しみ」は「屋根の上のヴァイオリン弾き」のように不安定な足場の上に成立しているのがわかるシーンは辛かったです。
今回は、タイトルが示す彼らの在り方が前回より伝わった気がします。

特に市村さんのテヴィエは、「しきたり」を破る娘達にも悲しんでいるので、民族としての不安定さだけでなく、時代が変わっていく上での不安定さもあったのかも。
明るいテヴィエだからこそ、悲しんでいる姿がいっそう辛かったです。


鳳さんは、歌はちょっと聞きづらく感じました。
台詞だと気にならないのですが、やや声が割れているかな?と。
そして、二度ほどマジ受けされてました(笑)

肝っ玉母ちゃんで、お父ちゃんを尻に敷いているんだけど、一番根っこのところではテヴィエを頼っている。
チャヴァが訪ねてきたとき、話したくてたまらないのに、テヴィエがチャヴァに声をかけるまでは一言も話しかけられない。
チャヴァが勝手に結婚してしまったときに大号泣していましたけど、その時よりチャヴァが訪ねてきたときの方が母親らしさを感じました。


娘・年長組は、それぞれに可愛かったかと。
ツァイテルは鳳ゴールデの娘らしい気の強い感じで、旦那を引っ張っている感じでした。
ホーデルは、献身的な感じが出ていたかなあ。
チャヴァも悪くはなかったと思うのですが、前回が印象的すぎました。


婿・三人は、今回の方がよかったかな。
モーテルは気弱な若々しい青年で、でも夢の前には情熱的。
パーチックは、前回がいまいちだなぁと思ったので(すみません)
ロシア青年フョートカも、可愛かったです。


コーラスとか、ダンスとか、聞き応え、見応えがあって、迫力がありました。
この厚みは、さすがだなあと思います。
そして、前回は見落としていたヴァイオリン弾きの動きも間近で見ることができ、さすが日比野さん!と思う箇所も多かったです。


テーマは、やはり重くて悲しいですが。
追われる民は、悲しいですが、他の者を受け入れられない頑なさを2000年以上捨てなかったのが、追われる一因でもあるんだろうなぁ。

難しいですね。



カテコでは、大千穐楽ということもあって、ご挨拶がありました。
市村さんから、「一言」と言われて「ありがとうございましたー!」と本当に一言で終わろうとしたチャヴァ。
「不思議っこ」と言われていらっしゃいましたが、なるほど、舞台のチャヴァにもそういう面が出ていたかも?
他、二女、長女、奥様、ご本人、とご挨拶。
奥様は「今まで一度もミスしたことがなかったのに」とマジ受けされていたことをちらっと話されましたが、周囲から「まあまあ」と止められ詳しいお話は聞けずでした。
立ち位置から、結構センターだったモーテルも「途中から入った」ということで一言あるかと思いましたが、ありませんでした。

カテコもすべて終わった後、幕の向こうで、三本締め。
客席まで聞こえていて、一緒に三本締めをする人たちも。
ちょっと仲間入りさせて貰えたようで、嬉しかったです。