「空飛ぶ広報室」

空飛ぶ広報室
有川浩 著


航空自衛隊パイロットが主人公です。
パイロットとしての夢だった「ブルーインパルス」の隊員に手が届くことになった矢先、主人公は事故に遭います。
交差点に突っ込んできたトラックに、歩道で信号待ちしていた数名がはねられ、主人公も巻き込まれたのです。
さいわい、大きな怪我をした人は少なく、主人公も、普通の生活をするには何の不自由もない状態に回復しました。
しかし、パイロットは「普通の生活」ではなく、主人公は夢が叶う直前で、夢を立たれてしまったのです。
そんな主人公が、航空自衛隊の広報室に配置換えとなり、立ち直っていく物語です。

主人公に絡んでくるのは、広報室のメンバー。
そして、テレビディレクター。

真面目な優等生のディレクターは「自衛隊=悪」という意識を刷り込まれていて、結構な暴言を吐くんですが、「自衛隊」という記号でなく、そこにも「人間」がいることに気がついて、少しずつ変わっていきます。

広報室のメンバー達も、それぞれ自分の中にあった傷と向き合い、前に進んでいく。

それぞれの「傷」は、共感できるものもあって、読後感はよいです。


ただ、ちょっと思ったのは、「教師」とか「人権団体」とかに対する「記号化」。
勿論、私が知らないだけかも知れませんけど、今時、そんな人たちいる?
この作品における「教師」と「人権団体の代表者」の発言は、自衛隊を「記号」としか見ていなくて、「悪だ」と切り捨てるものでした。
しかし裏返せば「教師」や「人権団体の代表者」は「物事の本質を見ようとせず、一面から批判するステレオタイプの人たち」である、と「記号化」されているように感じます。

あくまでも、私個人の感想です<(_ _)>




おまけ

空飛ぶ広報室」をネット検索してみましたら、航空自衛隊の広報部のページが出てきました。
http://www.mod.go.jp/asdf/pr_report/soratobu/soratobu.html

小説と絡めた特設ページのようですが、なかなか柔らかい感じで、小説を読んだ人に楽しめるページになっていました。
一見の価値ありかもー(^^)



おまけ2

空飛ぶ広報室」はドラマ化されます。
TBS系列の日曜劇場(とんびをやっていた枠)です。
私はたぶん、みないけどもw