「出口のない海」

出口のない海
著:横山秀夫

横山秀夫さんの本はハズレがない…と借りてきたもの。
てっきり推理小説だと思っていたら、戦争を描いたものでした。
映画にもなっていたらしいですが、全然知らなかったです。

大学の野球部員たちが主人公。
初めのうちは、戦争より野球のことを考えていた彼らが、それぞれに志願することを決めていく。
中心になるのは、野球部のエース。肩を壊して、それでも野球を諦められず、魔球開発を夢見ている。
しかし、海軍に志願し、更に、人間魚雷「回天」に志願する。

こういう話を読むと、知覧で見た特攻隊員の遺書を思い出します。
死に臨んで、透明な心境になっていく。
ある種、悟りの境地を開いたような。
でも、そこに至るまでの苦しみが辛いです。

そして、戦争に生き残ったものの気持ち。
それぞれに丁寧に書かれていて、一気に読んでしまいました。

そういえば、「愛と青春の宝塚」の速水さんも、人間魚雷で散ったのでしたっけ。
彼は、また少し違う気持ちで出陣したのだろうけど。