「レ・ミゼラブル」

5月21日ソワレ

††キャスト††

ジャン・バルジャン 今井清隆
ジャベール 鹿賀丈史
エポニーヌ 島田歌穂
ファンテーヌ 岩崎宏美
コゼット 神田沙也加
マリウス 石川禅
テナルディエ 斎藤晴彦
テナルディエの妻 鳳蘭
アンジョルラス 岡幸二郎
司教 林アキラ


リトル・コゼット 清水詩音
リトル・エポニーヌ 飛鳥井里桜
ガブローシュ 鈴木知憲


グランテール 土屋研二
クールフェラック 西川大貴
ジョリ 土倉有貴
コンブフェール 谷口浩久
フイイ 宇部洋之
レーグル 清原邦仁
バベ 高山光乗
ブリジョン 清辰之介
プルベール 二宮優樹
モンパルナス 尾崎功使
ラクスー 石川剛
買い入れ屋 吉川恭子
マテロット 曲木佐和子
ファクトリーガール さとう未知子
ジベロット 万里紗
マダム 谷口ゆうな
少年1 野田久美子
少年2 山岸麻美子
かつら屋 絵理


指揮 塩田明弘



待ちに待った、SPキャスト公演。


まさに

♪この日を待ってたな〜


座席は残念ながらB席で、ちょっと舞台は遠いけど、奥まで見える、照明を楽しめるのは、やっぱり良い!


どっぷり楽しんで来ました!



オケの音は、前回(2階S席)はクリアで聞きやすかったのですが、今回はちょっと遠い感じ。
成る程、このあたりはさすがS席とB席の差ですね。



ここからは個別感想。

■バルジャン
すごくよかった。
歌が本当に素晴らしくて。
特に低音。


高音になると、ややキツイのか、すんなり声が伸びる感じがなくなるのが惜しいけど(彼を帰してのラストとか)、それでも、今井さんの低音と比べて惜しい…なので、安心して聴けるバルジャンでした。


あと、演技。
控え目というか、目立たないのが、バルジャンらしく感じました。
主役は勿論バルジャン。
でも、「俺が主役だ!」という感じはなく、物語の大黒柱に徹している…といえばよいでしょうか?


バルジャンという、物語の核がしっかりしているからこそ、個性的な他の人物が光輝いて見える。
そんな感じ。


うまく言えないですね。


どっしりとした安定感、といえば良いのか…。



テナルディエの宿屋では、椅子を蹴飛ばし、ジャベールとの対決でも声を荒げ、決して静かな演技ばかりではありませんが、全体に余計なものを削ぎ落とした、非常にシンプルな演技で、そこがとてもよかったです。


あ、「犬じゃないぞ」て言う所、怒鳴るバルジャンのイメージでさたが、今井さんは低く声を圧し殺す感じで、複雑な心境が感じ取れました。


コゼットと出会うところでは、山口さんは、コゼットとわかって声をかけた感じでしたが、今井さんはたまたま見かけた女のコに声をかけたらコゼットだった、という感じに見えました。



書いていくうちに、もう一回、今井さんのバルジャンを見たくなってきたなぁ…。




■ジャベール
こちらも素晴らしかったです。
きっちり信念を持って生きているジャベール。


バリケードから、下水道、自殺の流れがホントに素晴らしく。
なんか…バルジャンのせいで、自分の生き方に疑問を持ったとか、バルジャンを恐れてとか、そういう要素は全くない気がする…。
自らの信念を貫くには自殺しかない、だから、死ぬ。
死ぬことが、ジャベールとして生きること。
逆説的ですが、そんなジャベールかなぁ…。


とにかく、自殺で笑わないのが、良いです。
今は、皆笑うからなぁ…。




■ファンテーヌ
ここに来て、初岩崎さん(笑)
初演の頃から見たくて仕方なかったけど、ようやくです。


いかんせん、期待しすぎました。


岩崎さんと言えば、私の中では、歌・激ウマの歌手。
聖母たちのララバイは、度肝を抜かれた思い出があります。


しかも、母となって帰って来られて、ファンテーヌとして新たな境地に達した…と他からの評価も非常に高かった。


もんのすんごいファンテーヌを期待して、期待して、期待して…実際に拝見したら、あ、こんな感じなんや…と(汗)


今ならわかります。
200点を期待していたら、150点だったとしても、こんな感じ?ってなるんだろうなと。
でも、見ているときは、あれ?あれ?となってて。
今となって、なんてもったいないことしてたんやー(涙)と思います。


まっさらな気持ちで見るのを心がけてるのに…。


もう一度、見るチャンスがあるので、今度はまっさらで行って来ます!




■テナルディエ
小悪党…ではありません。
なかなかにしぶといおやじで、深みがありました。


愛すべきおやじというには、なんとも言えない凄みがあります。




■テナルディエ夫人
こちらも、コメディエンヌではないです。
そういや、鳳さんのテナルディエ夫人は、前も怖かったわ…。


コゼットを怒鳴り付けるところとか、そこまでやらんでも…とコゼット役の女のコが可哀想になるくらい。
下手したらマジ泣きしますて。


結婚式のあとも、図太いし。
この二人なら、最後の歌詞は「神様と地獄で!」の方がいいんちゃう?て思うくらいの自信満々な悪党でした。




■エポニーヌ
びっくりでした。
2007年に見たときも思ったけど、全然変わらない。


歌穂さんのエポニーヌは、「わかってないのね」とか、「コゼット、あの頃と、コゼット、変わった」とか、「わかってくれない」とか、短いフレーズの歌ですが、そこに込められた切ない気持ちがすごく伝わります。
CDには、収録されてないから、すごく残念なんですよね。


もう、どこからどこまでも、エポニーヌ。


圧巻は、恵みの雨。
力尽き、囁くように歌うのに、その声は2階席までしっかり届いて。
最後のキスは、マリウスの役作りとの相乗効果で、更に切なかった…。




■マリウス
凄すぎる。
ちょっと前まで、ジャベールしてたとは、思えません。
歌穂さんエポニーヌと二人、若すぎるやろ!


歌穂さんは普段から、若々しいからまだ予想がつくんですが、石川さんは、ジャベールですよ?
私は見れなかったけど、同僚が見てきて「凄すぎる、圧巻だった」と言ったジャベールですよ?


それが…なんだ、この初々しさは。


「君を困らせた…ああ、君の名前…も、知らない」とか、可愛すぎる。
(急いで立ち去ろうてして、「ああ!名前」と振り返ったら、コゼットが追いかけて来てて、びっくり。
もしかしたら、彼女も僕を?的な)


楽譜通りの歌ではなく、気持ちの揺れで言葉が切れたり、強弱がついたり。


「行け、今のうちに」までは、優しく冗談めかして、「行けっ!」でエポニーヌを本気で叱りつける。
それがあるから、帰って来たエポニーヌにすぐに気がついて「何故、戻ってきた」なんですよね。
向こう側からバリケードを越えてきたエポニーヌを見た瞬間に「ポニーヌ!」と何度も声をかけるのが、切なかった…。
キスは、最後はマリウスからもきちんと応えていて、いたわりが感じられてホントに切なかったです。


歌は、もう抜群で、アンジョルラスと歌うとこなんて、聞き応えありまくり。
ホント、素晴らしかったー。




■アンジョルラス
マリウスに比べたら、ジャベールとの落差が少ない分、衝撃は少なかったです。
しかし、まぁ、さすが、カリスマ性は断トツ。
このリーダーに「立つのだ」って言われたら、立つでしょう!


グランテールへの態度はどうかな〜と見ていましたら、突き放し系ではなく、かといって受け入れるわけでもない。
酒を差し出すグランテールをじっと見つめる様は突き放し系のようですが、最後に肩をぐっと掴むのは「最後は信じてるぞ」とでもいうような。


マリウスが撃たれ、バリケードを駆け下りてきた後、また、バリケードを駆け上るとき。
銃を持って行かないんですね。
そして、グランテールは、アンジョルラスを止めようと両手を広げるけれど、アンジョルラスはその手の向こう側に行ってしまう。
こういう演技に気がついたのは今回が初めてでした。


あと、オマケですが。
結婚式の給仕役。
マリウスがテナルディエに投げつけたお金を拾って…ポケットに入れた!
銀のスプーンやフォークをとるテナルディエ夫人には厳しいのに、猫ババは良いのか??
しかも、騒ぎの合間、隙を見て、いくらかな〜と確認するとか…。


も、大笑いでした。




■司教さま
私がSP公演に行きたかった理由のひとつが、司教さま。
残念ながら、往時の澄みきった歌声を聞くことは叶いませんでした。
でも、優しく強く言い聞かせる司教さま、やっぱり好きだ!




■ガブローシュ
鞄、届いた!
よかったです。




■アンサンブル
前回より控え目(悪目立ちでない)で、よかったです。
クールフェラックのソロがちょっとお気に入りになりました。


娼婦宿で、「娼婦だってどぶねずみと寝ないわ」のあと、「どぶねずみー」と叫んでいた娼婦さん一人。
これは、ちょっと耳障りでした。
初めて聞いたなー、こういう台詞…。