音楽劇「ヴォイツェク」('13/10/27マチネ)

音楽劇
「ヴォイツェク」


††キャスト††
山本耕史:フランツ・ヴォイツェク

マイコ:マリー

石黒英雄アンドレース
良知真次:カール

池下重大:鼓手長
青山草太下士官/医学生

日比大輔:兵士1/医学生
駒木根隆介:兵士2/医学生
加藤貴彦:兵士3/医学生

半海一晃:医師
春海四方:老人

真行寺君枝:マルグレート

今村ねずみ:口上人
団時朗:大尉


原作:ゲオルグビューヒナー
脚本:赤堀雅秋
演出:白井晃
音楽:三宅純



シアターBRAVAにて。
プレイガイド先行で取ったにしては珍しく良い席でした。
ほぼ最下手でしたが、9列目。
舞台は終盤まで前方を使うことが多くて、山本さんが真っ正面に立たれることも多かったです。
(それはとっても幸せvv)

舞台セットは、上にも書きましたが、前方に置かれていました。
半分よりは手前に壁(扉がいくつも付いていて、窓もある壁)が置かれていて、上手端には楽器が置かれていました。

開演時間は13:00。
休憩無しの2時間半…くらいだったはず。
カテコがあったから、舞台そのものはもうちょっと短かったかも?
しかし、その長さを感じさせない舞台でした。
…いや、長さは感じましたね。
でも、2時間半、ダレさせない、観客を集中させる力のある舞台だったと思います。


「妻をあやめた男、ヴォイツェク。“彼”を作ったのは誰?」


これは、チラシに書かれていた言葉。
観劇前にあった物語に関する知識は、チラシのみでした。
あまりしっかり読んでいなかったので、覚えていたのは先の言葉と、この物語が実際にあった妻殺しを元に書かれた戯曲だということくらい。
劇場で、いつもはしないんですがプログラムで配役を確認するときに、ちょっとあらすじのようなものを読んで、ヴォイツェクには幻聴が聞こえ、幻覚が見えることを確認してしまいました。


お芝居の冒頭で、良知さんが、客席をふらふらと歩いて舞台にあがります。
舞台上では、労働者風の衣装をつけた人たちが掃除をしています。
そのうちの一人が山本さんなんですが、何故かモップをつかって、「捧げ砲」?みたいな行動をしているんです。
で、良知さんが、モップと銃を取り替えてやって…。

ここで、私は勘違いをしまして。
この場面が、ラストシーン(妻を殺したヴォイツェクが刑務所に収監されている)のだと思ったんですが…違ったようです。
同様に、周囲の人が良知さんを全然気にしていない様子なので、ヴォイツェクにだけ見えるという設定かとも思ったんですが、こちらも違ったようです。

この勘違いは、結構ラストまで引っ張りました。
カール(良知さん)に他の人も話しかけているので、そちらが勘違いだと中ほどで分かり。
ヴォイツェクが刑務所に入らなかったので、そちらも勘違いだとわかりました。

その辺り、もちろん私の勝手な読み違いだったわけですが、そんな勘違いをしてもおかしくないような作りのお話でした。
地に足が着いていない感じで、ふわふわとしている。
何処か現実感が欠落している感じで。
抽象的というか、哲学的というか。

音楽劇なので、歌や生演奏も多かったです。
セットは、舞台の前3分の1くらいでたくさんの扉がついた壁が仕切っていました。
あんまり奥行きがないセットだなあと思っていましたが、それもラストへの伏線?
壁が取り払われると、舞台奥まで目一杯の空間が広がり、そこには湖。
視覚的に美しいシーンでした。

結局何がどうなって、こうなって…と説明するには、よく分からない、ただ、美しい作品だったとしか。
もう一回見ることができていたら、もう少し自分なりに解釈できたかもしれません。
どんな言葉で感想を書いたらいいかもよく分からないのですが…。


しかし、何故、ヴォイツェクはマリーと結婚しなかったのかなあ?
何も持たない自分が唯一持っているものが妻。(ただし内縁の妻)
子どもに洗礼を受けさせることもなくて、それがちょっと謎です。
正式な結婚のためには、教会への寄付とか、何らかのお金が必要だったのでしょうか?