ミュージカル「シラノ」

††キャスト††
シラノ・ド・ベルジュラック 鹿賀丈史
ロクサーヌ 濱田めぐみ
クリスチャン・ド・ヌーヴィレット 田代万里生
ル・ブレ 戸井勝海
ラグノー 光枝明彦
ド・ギッシュ伯爵 鈴木綜馬

観客/カルボン 佐山陽規
観客/修道士/青年隊 林アキラ
リニエール 宮川浩
でしゃばり男/友人/青年隊 中西勝之
モンフルーリー/士官/青年隊 金澤博
ロクサーヌの付き添い/修道女 岡田静

アンサンブル
秋園美緒/家塚敦子/今泉由香/岩田元/川口竜也/神田恭平/小関明久/小西のりゆき/さけもとあきら/高橋桂/多岐川装子/中山昇/二宮優樹/守谷譲



脚本・歌詞:レスリー・ブリッカス
音楽:フランク・ワイルドホーン
演出:山田和也
企画制作:東宝/ホリプロ/フジテレビジョン


劇場は新歌舞伎座
上本町の劇場ですが、行ったことがありませんでした。
近鉄劇場のあった近く?
近鉄百貨店横で、チケット売り場はすぐわかったんですが、入り口がちょっとわからず…。
軽く迷って、エレベーターに辿り着いて行ってきました。
歌舞伎座みたいに劇場だけでどーんってあるのかと思ってたら、四季劇場とかブリーゼみたいにビルの最上階だった…と。
これで、次からは迷わないよw

座席は、センターブロックの3列目。
オケピもないから、舞台が近くて、迫力がありました。


「シラノ」はもともと好きな戯曲です。
中学生くらいの頃かな?たまたま海外ドラマだか、映画だかで、NHKでやっていたのを見て以来、深く印象に残っています。
当時は有名な戯曲とは知らず、「面白いドラマを見た」とストーリーを言ったら、「それは『シラノ』」と突っ込まれましたっけ。
テレビで見たのは、ちょうどバルコニーのシーンからで、ラストシーンは秀逸でした。


舞台の感想は…。
鹿賀さん、すごい…。
最初の殺陣など、動きも軽やかで、段取り臭さが全然無い!
お茶目でコミカルなシラノで、笑わせていただきました。
その中にある哀愁。

バルコニーのシーンだったか、ふっとラストシーンが頭に浮かんで、目の前の一生懸命なシラノの想いの深さに思わず涙してしまいました。
(ラストシーンは、前述のテレビで見たものでしたが)

惜しむらくは、シラノの言葉の美しさが十分に表現されていたとは思えなかったこと。
言葉を知らないクリスチャンを押しのけて、ロクサーヌに愛を囁くバルコニーのシーン、テレビで見たときはもっと美しく感じたのですが。
これは、日本語であり、ミュージカルである、という制約から仕方がないんですね。
それでも、最大限の努力をされたとパンフにはありました。

あと、最後の最後、手紙を見ずに読む…というのが、原作通り暗闇で読めないはずなのに、目が見えなくなっているシラノは周囲が暗くなっていることに気づかず読み続ける…の方が好きです。
この演出だと、最後にロクサーヌに知らせるために手紙を読ませて貰ったみたいなので。
そのつもりがなかったのに、最後の最後、知られてしまったという方が美しいと思ったのですが、どうでしょう?

しかし、その演出はどうであれ、シラノは素晴らしかったです。
降りそそぐ落ち葉と、その中で最期の言葉を紡ぐシラノと。
号泣ではないのですが、ほろりほろりとくる光景でした。



その他、豪華な出演者。
オープニングから光枝さんが大活躍です。
濱田さんも、見事にお姫様メイク。
パンフより数段綺麗(失礼)。
田代さんもパンフより数段綺麗(重ねて失礼)。
宮川さんが、酒飲み風メイクでいい味出てましたし、シラノの親友役の戸井さんも良かったです。
ところどころで、声が割れてるーって人もいましたが、基本、男声合唱が素晴らしくて心地よすぎ!
ガスコン魂、最高でした!


そして、嫌なヤツだったド・ギッシュが、「いやしくもご婦人を置き去りにはできない」と言ったときは、図らずも感動してしまいました。
ガスコン達が、そこで、ド・ギッシュに敬意を表すところも良かったです。
好き嫌いではなく、その人の行動に対し正当に評価するガスコン達、格好いいと思いました。
勿論、以降のド・ギッシュがシラノに対してある種の共感を持っているようなのも良かったです。


そんなすべてを持っていってしまうのがシラノの鹿賀さん。
年齢を感じさせない、本当に凄い役者さんなんだなあと再確認した舞台でした。
濱田さんも、田代さんも、光枝さんも、宮川さんも、戸井さんも、綜馬さんも、そのほか佐山さんとか林さんとか…みんなとにかく良かったんですけど、一番はやっぱり鹿賀さん!
そう断言できる舞台でした。