2010/7/22観劇日記②

昨日の続きです。

■ローブのダンス
アイーダを呼びに来るときは、にこにこメレブです。
でも、アイーダが「どうして?」と問いかけると強い表情に。

ローブでは、ネヘブカを促すところとか、みんながアイーダを求めているのを遠巻きに見つめているのとか、そういう所が好きです。
そして、久々に、とってもエビ反りなジャンプを見れてよかったvv
そのあとのターンも軸もぶれず、綺麗に回っていらっしゃいました。

アイーダを連れ戻そうとするとき、秋さんアイーダはその手を払おうとするんですね。
それを無理に連れて行くメレブ、いいですよねvv

担ぎ上げられたときのアイーダは、予期していなかったのか、びくっと身じろぎ。

そして、ひれ伏していく人々の間をローブを持って進むメレブ。
このシーンは、美しいですよね。
2階席から見るのが好きです。
メレブに限って言えば、ふっとローブに目を遣って、強い瞳で進んでいきます。
そして、ぐっとローブを差し出す。
格好いいですよねー。

アイーダがローブをつかみ取った後は、拝むように喜んでいました。
やっぱりもう吼えてはくれないんですね…。
吼えるメレブが大好きだったのに…。

このとき、マチネでは、ネヘブカに何かあったのか…。
ネヘブカをエスコートするように、アイーダのもとへ。
そんな演出だっけ?とソワレで見ていると、ソワレではそれぞれでアイーダのもとへ集まっていました。
だから、マチネではネヘブカが滑ったりして出遅れたのかなー?と思ったのです。

ここでのメレブ。
ローブを受け取ったあと、ヌビアの民のひとりになることもありましたけど、今回は、一線を画していた気がします。

あと、アイーダのラスト「♪いーまー」は、名古屋では、BW版で歌っていらっしゃった秋さん。
今回は、他のアイーダと同じ音になっていました。


■洗濯
アイーダ、かなりラダメスを気にしていますね。
そして、嬉々としてアイーダに近づいてくるラダメス。

キスされたときのアイーダは、ちょっとうっとりした感じで。
もう、好きなんだなー。

アイーダーー、誰を見たと…」と現れるメレブは、ちょっと下手を見ながらすっごく緊迫感のない表情で登場です。
それが、二人のキスシーンを見て、神妙な感じになって。

アイーダ、アムネリス様がお呼びだ」
「王女様が」
「あなたの婚約者の」

ここで、笑いはおきませんでしたが、私としては、最初の「アイーダ」で十分笑えました。
淡々と割り込む感じが…w


■どうもおかしい
恋なんかするはずがないと思っていたラダメスが、ついに恋に囚われたのか…という驚きと、その相手がアイーダであることの困惑。
そして、アイーダもラダメスに惹かれているようであること。
そういうすべてをひっくるめて「あり得ない」
どうしたらいいのか…というメレブの迷いのようなものが見えます。
最後の「あり得ない」はすごく苦しそう…。

そして、ここのアイーダとアムネリス。
市場の人々が、アムネリスと気がついて頭を下げていますが、びっくりでしょうね。
まさか王女様がこんなところに?って思うのではないでしょうか?

あと…。
ちょっと気になったのですけど。
ここのアイーダとアムネリスの歌。
パートが逆になってません?

二人で同じ歌詞を歌うところなんですけど。
アムネが上のパートで、アイーダが下のパートだと思っていたんですが、この日は鈴木さんが下のパート、秋さんが上のパートを歌っていたような??
というか、ソワレではそうだったと思うんですよね。
「あれ?逆?」って思ったので。
勘違いかなあ…。

ソワレを見ながら、「アイーダが上だったのに、間違えて覚えていたかな?」と思っていました。
帰宅してからCDを聞くと、やっぱりアムネが上パートだったし…。
とはいえ、自分の耳にそこまでの自信がないので、そんな気がした…というくらいに留めておきます。


■迷いつつ
ラダメスの「わからないのか」は、本気で「わからないのか?」って聞いてる感じですね。
阿久津さんの時は、「わかっているくせに」って感じでしたが。

なんか、ここのラダメス、ちょっと残念でした。
歌がどうとかいうのも勿論あるんですけど。

アイーダを求めて歌うところ、なんか熱が感じられなくて。
棒立ちでアイーダの肩をつかんでいる感じなんですよね。
だから、跪くのも、すごく不自然。
いや、そこで何で跪く?的な。
縋り付くところは、まあ、いいんですけど。
織田裕二さんばりの「きたー」も別にいいんですけど。

アモナスロ王を捕まえたと聞いたあとの、喜んでその後の落差…。
もあまりありませんでした。

「オレ達の国は戦争をしているんだ。その事実は変えられない」

振り向く前から、そんな気持ちだったように見えます。

なんだか、気持ちが全般に流れている感じかなあ。
メリハリがちょっとない感じでした。


■神の愛するヌビア
えーっと。メレブに感想を絞っていいですか?
歌い出したアイーダを、この日はじっと見つめていました。
アイーダのすることを見守っているというか。

ネヘブカが歌い出しても、ネヘブカと行動を共にしない。

ネヘブカは、アイーダに寄り添い、立ち上がる感じなんですけど、メレブはまだじっとアイーダを見つめている。

アイーダがメレブの所に来て、視線を合わせたときにも、視線の強さは変わらなくて。
今度はメレブも、人々を勇気づけはじめる。
ちょうどその部分が、コール&アンサーで、メレブが呼びかける、手を取られた女性が答える、というやり取りがあって、すごくよかった!
その後の部分、今度は女性パートが歌う後を男性パートが追いかけるところも、激昂していく気分が伝わってすごくよかったです。

そして、再びアイーダの手を取った時のメレブは、アイーダに縋るのではなく、アイーダの役に立とうしているように思えました。
アカペラになるところで、ネヘブカと手を取り合うのも、二人がアイーダを支える立場だからかな。

その後、前に走ってきてからは、もう、格好いいったらありません。
2階席を見つめながら、強い強い目で睨み付けるメレブは、本当に格好良くて。
席も前方ですから、生声も聞こえて、本当に素敵でした。
ここだけでも、見に行きたいくらいに、ホントに格好良かった。
もちろん、シーンとしても大好きなシーンです。


■どうしたらいい
どうしたらいいでしょう?(^^;
特筆することは…ないようなー(^^;;


■牢獄
牢番さんが森さんじゃなくて、ちょっと残念。
あの低音の声、好きなんです。

さて、ここでは、やはりアモナスロ王について触れねばなりません。
今までの王と比べるとお若い!
で、武闘派のイメージがあります。
威厳のある王様というより、皆の先頭に立って戦う王様。

でも、声は、威厳がある…というか、低音で響くので、気圧される感じです。
アイーダも、王の声の威力に負けている感じ。

でも、「忘れるのだ」は川原さんのような強さはないです。
その前の「処刑された男たち、略奪された女達…」のくだりは、すごく説得力ありました。

エジプト人め。許すことは出来ない」も、恨みの念が強い。
「AIDA」で見た沢木さんのアモナスロに通じるところがあります。
何が何でもエジプトを滅ぼしてやる、といった執念めいたもの。

一方メレブですが。
「まさか、ラダメス将軍から?」は、「まさか」といいつつどこかに「やっぱりですか??」という気持ちが潜んでいる気がします。

以前、ここのシーンで、
「覚えているでしょう?ヘヌの息子よ」
と言っている秋さんアイーダと有賀さんメレブが、すごく仲良さげで、いいなあと思っていたんですが。
今回は、そういう感じ、あんまり受けなかったです。

「私? どちらかというと…」は、笑いを取っていましたが、今回、メレブが取った笑いはここくらいでしょうか?


■人生の苦しみ
…うーーーーん。
それほど…苦しんでいるようには…感じなかったなあ。

「神に捧げた私の人生
 ヌビアのための私の命」

が、こんなに説得力がないのは、初めてです。

まず、ラダメスのこと、そこまで好きなの?って言う疑問もあるし。
ヌビアの人々のこと、そこまで考えてるの?って言う疑問もある。


■作戦室
ここのアムネリス、成長していく様が見受けられていいです。
きれい事だけでは、国は治められないこと。
自分の享受している贅沢は、他の国の犠牲の上に成り立っていること。
そういうことを、知らず生きてきたことに気がついて、目を開き始めるきっかけになったんでしょう。


■この父親にしてこの息子あり
マチネは、ピラミッドのダンスが残念だった分、こちらが格好良くて、見応えがありました。
ソワレは、マチネに比べるとちょっと…でしたが、でも、格好良かったです。

「しはーい」は、もう、諦めます。


■ラダメスの手紙
ラダメスとアイーダより、後ろで作戦を練っている人々に注意が行ってしまいます。
ゲッバイヤさんが、皆に指示を出して確認している感じでした。
そして、ゲッバイヤさんのジャンプ、高くて、見応えありでしたvv


■収容所
最初に剣を向けられた女性を助けようと飛び出し、「ひっ」とのけぞるメレブ。
臨場感がすごくあります。

ネヘブカの飛び出しは、一瞬の躊躇もないんですね。
お母さんが捕らえられた瞬間、状況を確認しているかどうかもわからないほど素早く「あたしがアイーダです!」
頭で考えて動いてないんだなーって速さでした。

その後のヌビアの人々の苦しみのダンスは胸を打ちます。
そんな中で、じっとアイーダを見つめるメレブ。
今回は、初めから、アイーダがラダメスのもとへ行くだろうと思って、見張っているようにも見えました。
立ち上がったアイーダに、やっぱり「あの男の所へ行かれるのですね」

ちょっと残念だったのは、あっさりとアイーダの手を離してしまったこと。
「許してメレブ」ってそこまで気持ちが入っていないので、ここは、絶対に話しませんーってしがみついた方がいいような気がします。
アイーダを止めることは出来ない…とメレブが諦めてしまう…そういうアイーダには見えなかったのです。


■私は知っている(リプライズ)
これは…切なかった。
今回は、アイーダの気持ちを理解した上で「諦めて欲しい」と歌っているように思えました。

「あの男」と言い捨てるのは、決してメレブがラダメスを憎んでいるからではない。
アイーダに対して、義務として言っている…というか。
「思い切れないのは、わかっています。それでも、あなたは王女なのだから、その恋は捨ててほしいのです」

「何故、あの男のもとへ行くのですか!」と責めているのではなくて。
「ヌビアの人々のために、生きてください」と懇願しているように思えました。


■星のさだめ
そういえば、名古屋で初めて見た頃は、ここの間奏の台詞が全然言えてなくて、がっくりきたもんでした。
あのころから比べれば、台詞回しは、だいぶよくなられたんですよね。

ラストは、去っていくラダメスを下手端まで追いかけるアイーダ
そして、キッと空を睨むアイーダでした。


■真実を見た
茫然とアイーダの去った方向を見て、ラダメスの去った方向を見るアムネ。
静かに悲しみに絶える姿が、辛い。


■結婚式
…おお、なんと図々しくも現れるラダメス…って感じだw
ところで、2幕「この父親…」くらいから気になっていたラダメスの足元。
踵の低いサンダルなんですけど、これって、現代仕様なんでしょうか?

結婚式にはそぐわないような気もするんですけど?


■桟橋
メレブがっ、メレブがーーー(T^T)
ラダメスが飛び込んできたとき、剣を構えて、ラダメスと確認して、表情が変わる。
的は切り捨てないと行けないんだけど、ラダメスにはやっぱり特別な思いがあるんだな。

そのくせ、ゾーザーの手下はあっさり斬り殺し…。
斬った後に、ためらいとかはないのね?
そういう点では、メレブも兵士なんだわ。

ゾーザーに突かれた時の苦しみ方は何度見ても辛い。
そして、命が消えていくのも。
「ヌビアへ帰りたかった…」も。

ここで、アイーダはがっちりメレブを抱きしめてくれているので、ラダメスの頭キャッチは用なしになっていました。
せっかくスタンバイしているのに…両手が手持ちぶさたっぽいですね(笑)


■裁判
なんだろう?
「傷つけるつもりはなかった」とか「君はいつでも大切な人だったよ」とか、気持ちがこもってない感じです。

そして、今回、一番泣かされたシーンはこのあとなんですが。
「いいえできるわ。だって、あなたは彼を愛しているもの」と言われたときのアムネの表情。
必死でこらえていたものが、溢れそうになって、ぐっと顔を歪めるんです。

もともと、このアイーダの台詞は、残酷な台詞だよなあ…と思っていたのですが、今回は、アムネリスが可哀想で仕方なかった。
必死で耐えて、ファラオの隣に腰掛けるアムネリス。
しばらくは、目を伏せたまま。
でも、ファラオの宣言の途中で、視線を上げ、目に力がこもっていきました。

きっと、すごく葛藤していたのだと思う。
「我こそはイシスの娘!」と宣言したときも。
まだ、葛藤していたんだと思う。

誰ひとり、信じる人のいない世界で、生きていかなければならないアムネリス。
父親も間もなく亡くし、愛した婚約者は唯一の理解者と思っていた友と処刑され。
それでも、彼らに情けを掛ける…。


■迷いつつ(リプライズ
■儚い喜び(リプライズ
ここは、やはり特筆すべきことは、ないでしょうか。
ソワレでは、ほぼ真ん中でしたので、最後のシーンが堪能できました。


■愛の物語(リプライズ
「♪喜び 悲しみ 苦しみ超えて」
この歌詞に、アムネリスがこれまでの年月超えてきた「喜び」「悲しみ」「苦しみ」が想起されました。
それを乗り越えて「今こそ二人を包むのは愛」と二人を結びつけたアムネリス。
彼女が乗り越えたもの、本当に彼女が二人を許したのは、この時なのではないのか…、そんなことを思うと、また泣けてしまったのでした。


■カーテンコール
いやあ、やっぱりゾーザー軍団格好いいvv
そして、メレブは…やっぱり2階席ばかりご覧になっています。
それでも、一番の拍手をメレブに送って、観劇終了です。





おまけ。

今回、秋さんのアイーダに思ったのは、覚悟が感じられないかなーってこと。
どこか、薄い感じが否めないです。

濱田さんのアイーダは、すごく感情で物事を捉えるイメージ。
樋口さんのアイーダは、理性的に物事を捉えるイメージ。

濱田さんの場合、ラダメスへの愛とヌビアの人々への愛と、どちらも情緒的な感じで、選べない。
質的に同じで、どちらも重くて、押しつぶされそうになって。
でも、自分の存在だけが救いであるヌビアの人々の思いに答えるため、愛を捨てようと決める。

樋口さんの場合、ラダメスへの愛は感情、ヌビアの人々への思いは責任。
ちょっと違うけど、愛情と仕事。別のものだから選べない。
でも、選べと言うなら…王女としての責任から、仕事を選ぶ、という感じ。

でも、秋さんのアイーダからは、その辺の思いが伝わってこないです。
ラダメスへの思いも、ヌビアの人々への思いも。
どういう立ち位置なんだろ??


そして、今回の渡辺さん。
誠実なラダメス、といちおう評価していたのが…今回は、全然、そういう風には感じられず。
とにかく段取りに流れてしまって、心が付いてきていないというか。

「そりゃあ、完璧な人だとは思ってないわよ?」とグリンダじゃないけど言いたくなります。
もともと、これこそラダメス!とは思っていないけど、今回、いいところを見付けられなかった…。

非常に残念でした。